月のうさぎ | 阿蘇の国のクララ

 

9月23日(木)

秋分の日...

 

高く澄んだ秋空には、

群れをなして移動する

赤トンボといわし雲。

 

穏やかで心地よい秋風が、

里庭の草木を秋色へと染めていきます。

 

「パパ、草取りしてるの?」

 

「そう。草を取って、

ホーリーバジルとフジバカマを植えるの」

 

「青いハチやアサギマダラを呼ぶんだ」

 

「ガーデニングは大好きだけど、

そのほとんどは

草取りだって最近気づいたわ」

ターシャ・テューダー

 

「終わった」

 

南登山道

 

南阿蘇パノラマライン展望所

 

南郷谷

 

「気持ちいいね♪」

 

「クー♪」

 

草千里へ...

 

草千里珈琲焙煎所...

9月18日(土)オープン。

 

草千里を眺めながら、

ママはドリップコーヒー。

 

私は、阿部牧場のジェラート。

 

「可愛いね♪」

 

「クー、みんな言う」

 

草千里

 

「ママ、ウサギ!」

 

「ウサギなら月にいるわ」

 

...ススキの茂みの中では、

小さなウサギが黙って

痩せた弱々しい老人を見つめていました。

 

ウサギは小さくて身体も弱いので、

いつもみそっかすでした。

 

「もしもし、おじいさん、

この山を越えるのは大変ですよ。

今夜はここでお休みなさいよ。

今、岩を転がして、

座るところを作ってあげますからね」

 

クマが老人に声を掛けました。

 

「そうですよ。

そのような薄着では寒いでしょう。

ぼくは薪を集めてきてあげます」

 

キツネがさっと駆け出していきました。

 

「それでは、

ぼくは喉の渇きを癒す果物を

探してきましょう」

 

サルが木を登り始めました。

 

老人は、何度も頭を下げて、

動物たちに感謝しました。

 

小さなウサギは、

その様子を

ススキの繁みの中から見ています。

 

やがて、

老人は岩に腰掛け、

ぱちぱちと温かい炎が上がる

焚き火の前で、

果物をおいしそうに食べ始めました。

 

その様子を

満足げに見ていた動物たちは、

繁みの中でじっとしているウサギに

気が付くと、口々に文句を言いました。

 

「おまえはいったい何をしているんだ」

 

「みんながこうして役に立とうとしているのに」

 

「そんなところに隠れているなんて」

 

ウサギはそっと目を伏せて小さな声で言いました。

 

「私には何もできませんが、

どうぞ私の肉を召し上がってください」

 

ウサギはパッと飛び出すと、

燃える焚き火に飛び込んでしまいました。

 

「ウサギよ、おまえの気持ちは

とても尊いものだ」

 

次の瞬間、

老人は神々しい光に包まれて、

ウサギの魂を抱いていました。

 

老人は仏様だったのです。

 

仏様は、ウサギを哀れに思い、

空に浮かぶ白い月に上げてやりました。

 

だから、

今もウサギはお月様にいるのよ。

 

 

「クララ、クララ、なに見てはねる♪」