7月20日(火)...
陽目の里 名水茶屋
午後3時、目的地に到着しました。
今年初のソーメン流しです。
大自然の中で食べる
名水仕立ての流しそうめんは、
ひと味もふた味もちがうんだとか。
「...クーちゃん、食べるかな?」
味も匂いもしないので
私は食べませんでした。
「パパがね、神原川で泳ぎたいんだって」
「クー!」
さらに奥地へ...
ここに来たのには訳があります。
神原川にはイワメと呼ばれる
謎の渓流魚が生息していて、
夏になるとパパは潜って探しているのです。
神原川
「アリス、一緒に探そうね」
「テヘッ♪」
私は川に飛び込んではしゃぎました。
「クー♪」
途中、パパは
集落の人と話し込んでいました。
「ニホンカモシカを見たことはありますか?」
「あるよ。
10年前まではここらにもたくさんおったよ」
お爺さんはしみじみといっていました。
私はパパの足元で横になり、
寝入ってしまいました。
この村はいい村です。
午後7時、
車はお家とは反対方向に走っていました。
佐伯市へ...
南国ラーメン
「つぎは、ムササビ探し?」
「クー♪まだ遊ぶの?」
午後9時、
城山に人の気配はありませんでした。
私たちは目を凝らして
ムササビを探しました。
闇に、徐々に目が慣れてきました。
「わああ...」
大きな木を見上げて、思わず声が出ました。
午後11時、
ついにムササビを見つけました。
「やったあああっ!!」
パパは飛び跳ね、喜びの声を上げました。
空には上弦の月が浮かんでいました。
この瞬間の全ての生を、祝福するように。