離されないように。離れないように。 | 阿蘇の国のクララ

 

7月4日(日)...

 

「クー、いつになったら、

クララ1号に乗るの?」

 

北方トンネル

 

「パパが私の病院からだって」

 

西九州自動車道

 

「阿蘇から約2時間、

今日の目的地に着いたわよ」

 

「クー、どこ?」

 

「日向のお伊勢さま、

大御(おおみ)神社よ♪」

 

 

「きれいなところだね♪」

 

「クー♪」

 

まだ夕焼けには早い時間の海は、

日射しを反射してキラキラと光っています。

 

風があって、波は少し高い。

 

国歌「君が代」に歌われる、

日本一大きい「さざれ石」

 

龍神の霊(たま)

 

深い青が視界を埋めました。

 

「奥に

鵜戸神社というのがあって、

そこにある洞窟には龍が棲んでいるの。

行ってみる?」

 

「クー!」

 

 

「...どこ?」

 

「中に入ったら見えるんだって」

 

「クー...」

 

「...昇り龍だね♪」

 

お倉ヶ浜へ...

 

「クー!ひさしぶり♪」

 

いつもパパの後ろをついていく。

 

離されないように。

 

いつもママの前を歩いていく。

 

離れないように。

 

振り向くと、

ママはうれしそうに笑って...

 

「クーちゃん♪」

 

私はそれが大好きです。

 

私を見つけるたび、

そうやってうれしそうに

顔を輝かせるママを見るのが。

 

風はあいかわらず、

冷たくはなかったです。

 

「クーちゃん♪」