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Hey! Yoo!

この世にはこんなに“イイ男”がまだいたのかと愛と希望をくれた人。
遅ればせながら“Gong Yoo”に出逢って世界の変化を垣間見ました。



$Hey! Yoo!



『トガニ』を見た方々の観想に「涙が止まらなかった」とか「胸が痛くなった」とか、そういった感想をよく見かけます。

私の場合、優しさが足りないのか涙は出ず、ただ胃の一番深い所に冷たい鉛の玉が鎮座して動かなくなりました。

見ている間に何度も吐き気がしたり、沸々と怒りが湧いて来たり・・・。

基本攻撃型の人間なのか、イノよりユジンに共感することが多かったです。



TSUTAYAで『トガニ』を手にした時“R18”のシールが貼ってありました。

「あぁ際どい描写があるのか・・・」って最初はその程度に思っていました。

ストーリー自体は薄気味悪い霧の中から始まって、小さな少年(ミンスの弟)が電車に撥ねられ、コン・ユさん演じるイノが小鹿を撥ねてしまうというショッキングな幕開けで、その後胸糞の悪くなる様な出来事へと続きます。

展開はかなり早く、イノは着任早々に異常に気付きヨンドゥ・ユリ・ミンスを保護していく訳ですが、その三人の子供たちに起こっている虐待の描き方が目をそらしたくなる程リアルに作られています。

おそらく、R18指定であっても日本では作ることが出来ないと思われるようなシーン。



映画の半分以上の時間が法廷や法廷での証言を回想するシーンで、ヨンドゥとユリが手話で証言していきます。

$Hey! Yoo!



このストーリーの中で、子供たちに起きたことがそれぞれ表現されますが、祖母が示談に応じてしまい唯一法廷で証言ができないミンス。

その溢れだす怒りを抱きしめる事しかできないイノの無力感が切ないです。

$Hey! Yoo!



ヨンドゥの告白で決定的な証拠を掴むが、判事の寝返りで理不尽な判決が出てしまう。

判決の後、被害者側の傍聴人達は納得がいかず騒ぎだしユジンは検事に詰め寄ろうとする。その光景とは対照的にただ立ちつくすイノ。

この部分の見せ方は、イノの心情をよく表現していてうまい作りです。


裁判の後、ミンスのとる行動はあまりにも衝撃的であり得ないと思いましたが、ここはフィクションだったと後で知り少しホッとしました。

これが事実だったら、救われない。ミンスもイノも救われません。

正直、他に表現方法はなかったのかと思うほどのミンスの最後です。


そしてユジン達と支援者たちが裁判所の前で不当な判決を出した裁判官の車に卵を投げつけ機動隊(韓国では起動隊とは言わないかも)と激突。

放水を受ける中へミンスの遺影を抱いて静かに進むイノ。


ストーリーの最後は、娘のもとに戻ったイノへ届いたユジンからの近況を知らせる手紙で終わりますが、街中を歩くイノの冴えない表情が印象的です。





この作品の中で子供たちへの虐待と共に描かれているのがワイロや買収。

イノも大学の教授の紹介で来たにも関わらずお金を要求され、オモニが用意して支払っています。聖職であるはずの教職でさえお金で買う現実。

また、子供たちが逃げ込んでももみ消してしまう警察。

孤児のヨンドゥとの示談のためにイノにお金を渡そうとしたりと、韓国の抱える闇の部分も描かれています。

イノもオモニに言われ幼い娘の為にそれを受け入れそうになりますが、パク教諭に殴られ連れて行かれるミンスの姿を見て押さえていた気持ちが爆発します。

パク教諭の頭に植木鉢を叩き付けるシーンは、長い長い間がありイノの心の葛藤と強い怒りを表現しています。




これはメイキングです。



『トガニ』にスーパーヒーローは出てきません。

イノの役割はただひたすら子供たちを支えるだけで、証言台にも立たず校長たちと直接戦うこともありません。

でもそのイノがスーパーヒーローでなく無力な一人の人間であった事が韓国の人々の心を動かしたのだと思います


日本で映画が公開された時には、既に『トガニ法』が施行されていたので映画を観終わった後に思うことは、これがきっかけで法律が改正されて良かったなぁだと思いますが、韓国で公開された時はまだそのずっと手前です。

映画を作った人達ですらその後に起きることなど予想してはいなかったはずです。

エンドロールの最後に出てくる言葉が、イノの言葉だったのかコン・ユさんの言葉だったのかは分かりませんが、この『告発』があって初めて人々の心が動き国が動きました。




コン・ユさんがこの原作に出逢った奇跡がハッキリとした形に残って良かったと思います。