楽器を教え始めて16年がたちましたが、よく考えてみると、楽器のレッスン以外で意外と一対一で一つのことを同じ人から長年継続的に習うこと、また関わることは人生においてそんなに多くないのかなと思います。
小・中学生を長く教えたりすると、人の成長を何年も見る仕事なので、精神面や考え方に影響する部分もあると思います。そこまで影響するかどうかはお互いどこまで真剣にレッスンに取り組んでいるかによりますが..
大人の生徒さんについては人生の先輩であったり、お仕事もされて別の道のプロだったりするので、レッスン自体は一緒でも伝え方が変わりますし、また違う感覚です。
楽器の上達については、自分を含め、生徒さんがどうしたら学び成長し、良い精神状態で自分の力を発揮し、力をつけることができるのか。
レッスンをしていく中で、必然的に考え続けてきました。
レッスンを始めた頃は、これさえやれば上手くなるんだからと決まったやり方を提案するだけのようなことが多く、相手の状態を観察する力が足りなかったように思います。
それでは、全ての人が上手にはならないことに気づきました。
レッスンをやらせて頂く以上、全ての人がその人なりに前向きに何かを感じ考え行動し、理想は楽しみながら上達を感じてもらうことが仕事だと思っています。
今現在は、相手の演奏、相手の考えていること、長所を理解し、出来ていることを伝えたうえで、改善点を示し理解してもらい、やり方の提案とともに前向きな気持ちで演奏してもらうことを心がけています。
出来ない事は2種類あってすぐ改善する部分とすぐには改善しない部分があります。
その場では改善しないことも、その改善に向けて今すぐ出来る練習は無数にあって行動を続けていると、出来なかったことが出来るようになる時が来ます。
個人差はありますが、教える方と教わる方両方が目標を共有し、成長することを目指していて、やるべき練習をし、お互い相手の考え方を理解しようと一生懸命やっていれば、必ず成長できると思いますし、実際に生徒さんが皆上手になっています。
もちろん、趣味で楽しんで楽器を続けたい方がほとんどですので、楽しむこと、前向きに取り組めているかを前提に、上達を考えていきます。
上達すること=楽に楽器が吹けるようになること、やりたいことができるようになることであり、上達するから楽しい、続けていきたいと思うのだと思います。
経験を積むことと、経験から学び経験を大切にし前向きに生かしていくかが、成長の秘訣だと思います。
私自身、生徒だった頃壁にぶつかってばかりの繰り返しで、考え方についても反省だらけなのですが、それでも継続的に経験を積んできたので、昔出来なかったことが今いくつも出来るようになり、今が一番楽しく演奏が出来ています。そしてその経験からこの先も今出来ていないことも少しずつ向き合って出来るようになりたいと思っています。
楽器の上達について行き詰まることは何度もあり、おそらくそれは楽器の上達に限らず目標を目指している方なら誰しも経験していることだと思います。
私自身がレッスンを受け、教えてきた視点から上達に必要な考え方について考えてみました。
●今の自分ができていること、長所を把握している。
●目標がある
●改善点を考えられる
●自分の演奏がどうだったか観察しようとしている
●正しい練習を継続的に行っている
●疑問点が自分の中から涌き出てくる、問いをたてられる
●先生から言われたことに納得、共感できているか(疑問点を話すことも大切)
これは教える方も教わる方も考える必要があることがあると思うことです。
最後に、
●目の前の経験を通じて成長したいと思っているかどうか
です。
楽器の演奏の上達は本当に自分自身と向き合うことなので、特にプロなど本気でそれを目指す程、精神的に辛いことの方が多いかもしれません。
自分の演奏そのものは自分自身が作り出したものでまさに自分そのものです。
そのうえで根本的には練習以外に自分の力をつける方法はないので、最終的に自分一人の時間が大切になります。
レッスンを受けること自体が、とてもエネルギーのいることであり、楽器を習っている方は、もちろん音楽が好きな方ですが、やはり前向きで行動力がある方が多いと思います。
私自身がそうなのかと言われたらどうなんだろうと思う部分もありますが笑、そうありたいと思いますし、辛さを乗り越えられるのもそれ以上に音楽がもつ力や楽しさ、演奏できた時の喜びなど返ってくるものが大きくそれに勝るものがないから、音楽を続け、楽器を吹きたいのだと思います。
それが分かっているということは、幸せなことだと思っています。
最後に、
楽器を頑張る全ての方へ、楽器のレッスンや演奏、前向きに、不安に負けず、音楽を楽しみ続けていきましょう!