シカやイノシシによる食害から農作物を守ろうと、紀北町海山区の鷲下(わしげ)地区の農家などでつくる「鷲下農地管理組合」の組合員らが、地区の農地に亜鉛めっきをした鋼製の防護柵を設置した。組合員らは「毎年増大する食害が少しでも少なくなれば」と効果に期待を寄せている。
町内の鳥獣害防止に取り組む「紀北町鳥獣害防止総合対策協議会」は、昨年から国の鳥獣害防止総合対策事業の補助を受け、本年度は七千五百万円の防護柵購入費用を計上。鷲下地区など町内十六地区で防護柵の設置を進めている。柵の設置に要する費用は住民が負担する。
鷲下地区には銚子川の南側に農地が三ヘクタールあり、約半分が水田、残りがネギやハクサイ、イモ類、豆類を栽培している畑。水田では稲穂が実り始める八月、畑では冬眠期を除く春から秋にかけてシカやイノシシの食害が多い。これまでも各農家が町の補助を受けて電気柵を一部の田畑に設置していたが、柵のない耕作放棄地などから動物が侵入することがあった。
地区では今月から、組合員ら三十人が毎日作業を続け、二十一日に整備を終えた。柵は高さ一・八メートル、網目の大きさは十五センチ四方。同地区の田畑ほぼすべてを囲み、柵の総延長は三・四キロに上る。耐用年数は十四年。
組合の上村克利組合長(72)は「柵は景観的にはよくないが、年々食害は増加している。これで心置きなく農業に専念できる」と期待を込める。
町海山総合支所産業建設室の担当者は「動物の侵入を防ぐだけでなく、食害の影響で増えていた耕作放棄地を少しでも減らすのも目的。再び耕作を始めた農家も数軒あり、来年度以降も効果を見守りたい」と話している。
出典:中日新聞