海外の大学というと、”入学よりも卒業が難しい”、というのを聞いたことがある方も多いのではないだろうか。入学の方がしばし難しい日本の大学と違い、確かに今現在私が属しているイギリスの大学はIELTSの最低スコアさえ取れ、高校の成績も平均より少し高いくらいであれば入学できる。もちろんIELTSのスコアを取れずにうちの大学の英語コースにすら入学できなかった人がいるというのは聞いたし、簡単な資格試験ではない。

イギリスの大学に進学するためには、日本の高校卒業からの場合、Foundation Courseという、義務教育期間の差を埋めるためのプラス、大学英語を身につけるための学部前準備コースを卒業しなくてはならない。その準備コースはIEC (International English Center) と呼ばれており、まずはそこに入学するためにIELTSの最低取得条件があるのだ。そのIECには、韓国やトルコ、カザフスタン、エギプト、ジョージアなど様々な国からの生徒がおり、そこを卒業するのは、学部に進むために必須であり、IECも卒業率は上げたいため、どうにかこうして成績の低い生徒を助けようとする。のだが、このIEC期間中に私の友人2人が脱落し、一人は即刻母国の韓国に帰国した。もう一人も韓国人で、その彼は出席率と提出物の未提出により(本人は来たくなかったのに来させられたといっていた)、残り1週間を残して退学。

無事残りのメンバーは卒業し、次の9月から一年生に進級した。そのタイミングで、IECの同期のナイジェリア出身でブランド物(本物か不明)をよく身につけていた女の子も荷物だけ取りにわざわざ現れ、帰国していった。一年生の間は、共にIECを戦い抜いた日本人の彼女と、私の親友であるアイザック(名に合わず韓国人)と共に過ごした。

二年生になったタイミングで、今度は同じIECだった韓国人の女の子も休学。そして最も災難なことに、アイザックも韓国の徴兵制により休学して帰国してしまったのだ。彼とはジムによくいく仲で(海外でいうGym Broというやつ)授業も同じだったため、より一層このど田舎大学での生活が苦しくなってきた。そのほかにも、私が受けているビジネスの授業のネイティブの生徒も何人か二年生に進級できなかったと聞いた。

気になって自分の大学の退学率を調べてみると、10人に1人の割合で毎年Fail (退学)しているというのだから、卒業が難しいとはこのことか、と感じた。とはいえ、ロケーションの問題も大きいと感じる。以前のnoteでもご紹介した通り、私の大学があるのは主要都市から電車で5時間以上離れた僻地で、羊と馬と野うさぎとリスに支配された大草原なのである。娯楽などという嗜好品とは無縁の場所で、学生は皆ここを監獄と呼ぶ。そんな場所であと3年、2年、1年と時間が過ぎていく恐怖が顔を覗かせたら、恐ろしくなってしまうのは理解できる。そしてさらに追い打ちをかけるように、情け容赦ない円安とインフレが我々海外勢の首を絞め、平日の昼からお酒で喉を苦しめるイギリス人の呑気な笑い声と過ぎ去った昨日をよそに、今日もまた、明日への生存を胸に生きていくのである。退学なんてしようものなら、母に八つ裂きにされるのは目に見えているからだ。