タクトがゆっくりと下りてゆく。


その鋒が最後の休符を描ききった瞬間、

ふっと緊張がほぐれる。一瞬の間。


ホールを劈くのではないかと思うほどの拍手。

そのけたたましい残響の中でふと私は我に還る。



数瞬前までその音をたてていた二本の手。





わたしは、なにをしているんだろうか……???










コンサートが終わるのは、一瞬の出来事である。
演奏者はその一瞬に全てをかけ、そして去っていく。
終演後の舞台は、まるでそこでなにも起こらなかったかのようだ。感動など、そこにはなかったかのように。全てがあっけなく片付けられ、終わっていく、、、夢のように、、、、

たとえそれが一夜の夢だったとしても
聴く人がいる。それだけで十分ではなかろうか。
私はその聴く人の心をたったの一瞬、奪うために
音楽を続けていきたい。