SAW4 | にゃ~・しねま・ぱらだいす

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ドコにもダレにも媚を売らずに、劇場・DVDなどで鑑賞した映画の勝手な私評を。

ソウ4 [DVD]


【監督】ダーレン・リン・バウズマン
【主演】トビン・ベル、スコット・パターソン、ベッツィ・ラッセル
【オフィシャルサイト】http://saw4.jp/

それまでのホラー映画の概念や手法に新風を吹き込んだシチュエーション・スリラー第4弾。
既に第6弾の公開も決まっているが、シリーズを重ねるごとに本筋は外れていく一方、
表現だけがエスカレートしていくというシリーズモノの宿命には勝てずに見事に完全崩壊。
衝撃や影響を受けた好評価のシリーズだったが、残念ながら今後は見ません。

一連の猟奇異常連続殺人の犯人であったジグソウの遺体からカセットテープが発見される。
事件を担当しているホフマン刑事は、「自分の死で、すべてが終わったと思わないことだ」という
メッセージが録音されていることを確認し呆然とする。


ジグソウ事件に関わり、その後仲間を次々と失ったSWAT隊長・リッグは、
自宅にいるところを何者かに襲われ、気がつくと異常なゲームに巻き込まれていた。

売春斡旋業者や強姦魔などの悪党など、リッグ刑事と関わった人間が彼を試していく。


ゲームの一方、FBI のストラム捜査官はジグソウの元妻・ジルを尋問。
その証言から、彼と彼の妻の間に横たわる意外な過去が明らかになる。
ジグソウと弟子・アマンダは既に死んでいるが、ゲームを支配しているのは誰なのか…。

『SAW』シリーズ(当初はシリーズ化すると思わなかったが)の一番の特徴は、
複数カットを効果的に繋ぎ非日常感を煽る斬新的な映像表現と、絵面として『痛み』を
感じることができる心理的な恐怖を綿密に描いた卓越した脚本にあると思う。
従来のホラーやスプラッターに欠如していた『映画としての面白さ』を探求した手法が、
ジャンルを越えたエンターテインメントとして幅広く受け入れられたことが成功に繋がった筈だった。
ところが成功は連続していくことを求められ、『マンネリ打破』というジレンマを生んでいく。
常に前作を越えることを義務付けられた結果、初期の『イメージする恐怖』というコンセプトは忘れられ、
気付いてみれば

単純なスプラッターになっていた。

そんな感じ。
冒頭からそんなシーンが連続して醜く続き、とても直視に耐えない。
最大のウリは『ビジュアルで直接見せることよりジワジワと沸き起こる恐怖の方が怖い』ことだった筈。
主役である殺人鬼ジグソウが死んだ後、どうこのシリーズを何とか続けていくことばかりが先に立ち、
残りは全て後付け。もう1つのウリであった脚本も完全に破綻してしまった。

ま、続編が本編を越えることがないのは定説とはいえ、やめ時が難しいのも事実。
日本もアメリカもコンテンツ不足とはいえ、それまでの財産を全てムダにしてしまうような企画は、
自分達の評価を下げていく一方でしかないと思う。1作目が衝撃だっただけに本当に残念。

【評価】
☆☆☆☆☆