韓国映画ショウケース2007 


 KOFIC(韓国映画振興委員会)主催による、駐日韓国大使館・韓国文化院、韓国観光公社、韓国農水産物流通公社の後援による、<韓国映画ショウケース2007>が12月8~14日の7日間にわたって、シネカノン有楽町において開催された。このイヴェントは、同じKOFICが主催する、韓国インディペンデント・フィルム・フェスティバルと異なり、娯楽映画の紹介である。一昨年あたりから、日本への輸出が急激に下がった韓国映画の魅力をもう一度アピールしようということも目的のひとつである。上映された作品は「カンナさん大成功です!」(先行特別上映)、「家族の誕生」、「極楽島殺人事件」、「千年鶴」、「バント(仮)」、「飛翔」、「マイ・ファザー」、「横綱マドンナ(仮)」、「ウリハッキョ~われらの学校」の9本である。確かに、07年の韓国映画で観客動員20万人(興行収入約2億6千万円)に達した作品は1本もない。05年には「私の頭の中の消しゴム」(約240万人/30億円)、「四月の雪」(約220万人/27,5億円)、「僕の彼女を紹介します」(約160万人/20億円)が公開され、その年の韓国映画全体の観客動員は推定で800万人超、興行収入で100億円を超えていたことが遠い昔のように思える。この年の勢いから、韓国映画界は、日本への映画の販売価格を上げ、また、日本のバイヤーたちは高額でも購入した。そこへファンの韓国映画に対する飽きも生じ、観客動員が下がった。それでも06年の韓国映画は「連理の枝」(約48万人/6,4億)、「タイフーン」(約29,6万人/3,7億)、「デイジー」(約40万人/5億)06年「美しき野獣」(32,8万人/4,1億)と、ヨーロッパの映画に比べれば、大きな観客を動員したが、買値が高いために、採算にはあわなかった。そこで、日本のバイヤーたちは韓国映画の購入を控え、また観客の韓国映画離れも加速した。07年に入ると、期待された「夏物語」、「わたしたちの幸せな時間」も期待したほどにはふるわなかった。日本への輸出に大きく依存していた韓国映画界は打撃を受け、さらに07年に入ると、韓国映画産業そのものが衰弱するようになった。今回のイヴェントはこのような背景の中で開催された。厳しい状況に、直ぐに手を打つところに韓国という国の映画に対する力の注ぎ方が伝わってくる。


 12月9日の日曜日の夜には、帝国ホテルで、韓国、日本の映画関係者が集まり、このイヴェントを祝うパーティーが開催された。1998年に韓国で日本映画が解放されてから、わずか10年で、両国の関係は急速に接近した。サイダスFNHの代表であり「殺人の追憶」のプロデューサーであるチャ・スンジェ氏は、初めて李鳳宇(リ・ボンウ)さんに会ったときは、若々しい青年だったが、今では立派なオジサンになったと笑わせたが、チャさんは、すっかり日本の映画人の人気者になった。このパーティーには、KOFIC委員長のアン・ジョンスクさん、元文化庁部長の寺脇研さん、李鳳宇さんなど、この10年間、韓国、日本の映画の交流イヴェントにはお馴染みの顔が集まった。アン・ジョンスクさんは、1999年、『キネマ旬報』が韓国の映画週刊誌『シネ21』と提携を結んだときの編集長だった。以来、アンさんとは親しくお付き合いさせていただいているが、まさか小柄な女性のアンさんが、韓国映画界をリードする存在になるとは、とても想像できなかった。この10年、韓国、日本の映画人のあいだには、さまざまな友情が生まれた。そして、これから、さらに新しい時代が始まり、両国の映画文化の交流を地道に、しっかりと進めていかなければならない。




アン・ジョンスク氏



姜 基洪 韓国文化院長



チャ・スンジェ氏