一般論として、人は歳を取ると涙もろくなるようだ。
加えて私の場合、日々、死期を意識するようになったことで、テレビや雑誌、映画や本に接すると、感受性が敏感になった琴線に触れて、涙することが日常的になった。

１つだけ例を挙げると、「ビッグコミックオリジナル」誌の看板コミックである「釣りバカ日誌」の最新回(２月５日号掲載の第897話)中の登場人物の女性の呟き(「私が紅茶好きと知ってたのは、きっと秘書時代から…うれしいです」)に30数年前の自分と妻の関係を思い出して泣いてしまった。

それに対して、昨年末以来、そんな共感に陥ることなく、怒りだけで観続けているのは、朝ドラ「べっぴんさん」だけだ。
真面な神経を持っている視聴者たちが、ポータルサイトのYahoo!のテレビ・ドラマ評価のページに倦むことなく、毎日、多くの正当過ぎる批判記事を書き込む中に、「蔑貧さん」と言い直したいとのコメントがあった。

実際、ドラマの出来は、「良品」という意味での「特別な品」からは遠く離れ、昨年10月から12月までの前半において長々と垂れ流しされた太平洋戦争直後のシーンで実際に登場した闇市の「紛い物」に過ぎない。
せめて、正規の流通ルートで仕入れたものではない「正規品」を意味する「バッタもん」レベルの品質を保証するのが、公共放送であるNHKのスタッフたちの最低レベルの良心と言える。

さて、今日の昼前、真冬とは思えない碧空の下、TSUTAYAで予約した「ハドソン川の奇跡」のブルーレイ/DVDを受け取りに出掛けた。
従来であれば１時間で楽に行き来でして用事を済ませることができたのに、今は２時間強も掛かってしまう。
転びやすくなった足元に注意を集めながら、川沿いの歩道をフラフラと進まざるを得ない結果だ。
知らない人がそんな私の歩く姿を見たら、きっと「ゾンビだ」と思うだろう。

家に戻って、改めて窓の外の空を眺めていたら、頭の中に３句続いて浮かんだ。
その句を披露する前に、昨日24日(火)の朝日新聞に掲載され、最優秀作に選ばれた埼玉県の男性が投稿した川柳の内容について、村上春樹さんのファンに代って苦言を呈したい。

昨年末から俳句を作るようになる前の時点で、毎日、目を通している朝日新聞朝刊の「オピニオン＆フォーラム」のページの「朝日川柳」の欄もチェックするようになった。
その欄において昨日選出された７句のうち、☆印が付けられた最後の句では、大相撲の初場所で初優勝し、今日、日本出身力士としては３代目の若乃花以来、19年ぶりの横綱になった稀勢の里関が句題として取り上げられた。

そのこと自体はタイムリーだが、彼のファンたちが「お先にご免」と謝る相手が世界的に多くのファンがいる作家の村上春樹さんというのは、ファンだけでなくご本人に対して極めて失礼な例えだ。

なぜなら、優勝する、横綱になるというのが、稀勢の里だけでなく力士たちの究極の目標であるのに対して、村上さんはノーベル文学賞を獲得するために小説を書き続けているのではないし、ご本人が努力してどれほど優れた小説を上梓しても授賞に直結する訳でもない。
皮肉や風刺を籠めるのが川柳と俳句の違いだとしても、作者も選者も配慮がなさ過ぎると感じたのは私だけだろうか。

極めてタイムリーという意味でも比較すべきは、今年の第１戦に続き、ファンを期待させた上で同じ負け方を全豪オープンで繰り返した錦織圭選手の方だ。
しかも、昨年優勝を奪われた強敵である２横綱と１大関が相次いでリタイアする幸運に恵まれた稀勢の里と同様という以上に、初戦では別の大会に出場したジョコビッチ選手とマリー選手が早々と敗退し、極めて厚い壁が崩れるという空前絶後の棚ボタの状況が生まれたという点でも、錦織選手のファンに対して上から目線の嫌味を言うべきだった。

これで彼が残る３大大会で優勝できる可能性は、１％以下になったと感じる。
テニスに限ったことではないが、人気と視聴率や購買部数を増やすためのマスコミの大本営的なアゲアゲ報道は、即刻止めるべきだ。

【#08】
さて、本題の今日詠んだ句だ。

「毎日」と言うのは過大表示だが、新年に入って「毎週」感じるようになった自分が日々、やれるルーチン的なこと、無理をしてでもやらなければいけないことが遅々として進まず、断念せざるを得なくなりつつあることだ。

些細なことでは、朝起きてパジャマを脱いで下着だけとなり、体重をまず測った後、厚手のシャツに着替える時、小さなボタンをなかなか嵌めることができないこと。
そして、血圧を２回測定し、「慢性心不全手帳」に記録するのだが、今朝の場合、測ったばかりの体重データの記憶が飛んでしまっていて、また裸になって再測定した。

一方、大事では、乗り換えが必要な電車の乗車時間だけでも１時間掛かる離れた都市にある自分の家に手術以降、帰れないことだ。

いずれ、私の役目であるゴミ出しすらも、既に台車に頼るようになっているのに、それすらできなくなるのだろう。
そんな状況を詠んだのが次の句である。

【#09】
ところで１月末となり、国内はおろか世界的に知られるようになったジェイアール名古屋タカシマヤでの恒例のバレンタインイベント「2017 アムール・デュ・ショコラ～ショコラ大好き！～」が開催されている。
小さなチョコ１個で400円から500円もするというのは、スイーツ好きの私から見てもクレイジーと感じるが、自分のために買う女子たちに大人気である。

そんな中、ビターな味のチョコレート以上に苦い想いが蘇るのが、昨年のバレンタインデイでの出来事だ。
その頃、テレビで難病の幼児に代って母親が親子でファンであるタレントにネットでアピールしたところ、本人の目に留まってレスがあったという話題がテレビ番組で取り上げられた。

それを見た私は、綾野剛君が私のブログに掲載した彼の記事を読んでくれたら嬉しいと呟いたところ、長年にわたって私のブログを読み続けてくれていた読者が、綾野君のモバイルサイトの会員になっていたことから、メッセージで紹介してあげると言ってくれた。

その好意に甘えたところ、彼女はちゃんとメッセージを送ってくれたのだが、担当スタッフの目に留まらなかったのか反応がないまま今日に至っている。
綾野君自身は、ファンが男性か女性かによって区別することはなく、年齢も関係ないという考えの持ち主なので、担当スタッフのところでストップしたということだろう。

問題は、その女性自身がメッセージを送ったのがバレンタインデイの直前でメッセージが集中する時期だったのが良くなかったかも知れないと明かしたことだ。
当方としては、別に１日を争うものではなく、２月下旬まで待って貰っても良かったのだが、分別のある年齢の女性とは思えない対応に失望したことを伝えたところ、暫くして音信不通状態となり、昨年の４月初旬までの呟きが削除され、以降、沈黙が続いている。

こちらの女性の方は、このような原因が分かっているだけまだ救われるが、もう１人の熱心な読者も、彼女に続いて突然、一昨年の４月初めまで遡って「なう」の呟きを一気に消し去ってしまった。

要するに、シネマナビダイアリーの開設以降の本ブログとの関わりのすべてを「何もなかった」状態にしてしまったのである。
実際は当方の関係する呟きの方はほとんど残したままなので、「何もなかった」ことにはならないのだが、こちらの女性も黙したままなので、真意は宙吊りのままである。

「去る者は追わず、来る者は拒まず」と言えば格好いいが、その後、愛読者と呼べるネット・ユーザーが本ブログに来ることはないので、「痩せ我慢なだけだ」と馬鹿にされても仕方がない。
こうした複雑な想いを詠んだのが、次の句である。

【#10】
そして最後の句は、前書きで触れた今日の午後、リビングルームからベランダに出て、洗濯物の隙間から空を眺めて詠んだ次の１句である。
その際に撮った写真入りで掲載したい。

今日の碧い空に涙し、バレンタインデイの到来に苦い記憶が蘇る胸の裡を詠んだ３句