「サン・ポールって知ってますか?」
と、案内役の彼。
「トイレの洗剤ですか?」
と、私。
「違います(笑)城砦の村ですよ。これから案内しますね。」
ニースの長距離バスターミナルから400番のバスに乗り込み、ごとごと揺られること一時間弱。
初対面にもかかわらず会話が弾んだ。
「何故ロンドンへ?」
「語学留学です、英語が好きなので。短大で英文学を専攻してます。」
「そうなんだ。僕はホントはデザイナー志望なんだけどね。」
「そうなんですか。服飾関係のデザイナーですか?」
「そうだよ。服がね、凄く好きなの!」
「あ、私も服は大好きです。」
「僕が一番好きなのは、ヴェルサーチ!」
「私はゴルチェが一番好き!」
「あ、そのコート…ゴルチェでしょ?」
「なんでわかったの?」
「わかるよ、シルエットが独特だからね。」
………城砦の村が見えて来た………
