過去東日本大震災において私たちは地震と津波に直面し大損害を被りました。

 

地盤の関係で発表された震度よりも強烈な揺れに見舞われ、推定震度7の状況下で起こったことをご紹介します。

陶磁器の危険と保護にお役立てください。横揺れでしたので直下型活断層地震には家具対応はできません。次回の投稿のカップ素材での被害の違いを参考にしてください。

 

「カップボード自体に起きたこと」(すべてティーカップ基準)

 

カップボードはいくつかタイプがあり、被害に全く違いが出ています。

 

①重心に考慮がない国産つき板、または合板のカップボード固定

 

②重心に考慮がある無垢の英国アンティークチェスト非固定

 

③重心に考慮がある圧縮材カップボード非固定

 

④重心に考慮がある和茶箪笥非固定

 

最大の被害は①でした。固定したにもかかわらず家ごとの巨大な揺れに留め具が役立たず

倒壊は免れましたが内部はぐちゃぐちゃに、戸は全て外れて飛散、最下段と景徳鎮総手工のもの以外は

全て飛び出して足の踏み場もないほどの割れ物に。景徳鎮はロクロ生産で重心が考慮されており群を抜いて

揺れなかった。国産の型物が重心が一番悪く早く転がりだして一番遠くまで飛んで粉々に割れた。マイセンは

カップのみ棚の中で転がって口縁の尖ったところだけすべてホツができた。本体はさすがに頑丈。

リモージュ系素材は国産と同じく一早く壊滅。

 

②は重量があり重心が低かったためチェスト本体が設置個所から移動しただけにとどまる。内部では些かの破損が起きた。見える展示ではないので、箱や布を噛ませて保管すればほとんど被害が出ないと思われた。

 

③は背が高いタワー型であったにも関わらず倒れず慣性の法則で家が横揺れしてカップボードが定位置でスライドする感じで

ヘレンド、マイセン、景徳鎮、全て無事だった。これは耐震マンションの構造と同じでスライドで横揺れを軽減。ただし上の棚ほどカップの位置関係がずれた。

 

④は倒壊や扉、引き出しの飛び出しは無かった。ただし中身はかなり動いて胎の弱いものは全て何らかの破損が出た。

 

印象としては家具固定は震度7では金具が木部から外れてほとんど意味をなさず(家具か木造家屋の素材が合板などの場合金具固定のネジがもぎ取られる、これに対し無垢や圧縮材の場合そちらに金具が残った。)デザイン性だけで重心が悪い家具は扉や引き出しが外れて遠くまで飛んで内容されたカップが次々と飛び出して落下。軽い家具は安全ではなかった。

一方で伝統の無垢の重い家具は危険と思われたが逆にゆるぎなく被害は最小に。伝統でも紫檀の100キロある仏壇はセパレート部からスライドしてでんぐり返って1.5メートル先まで飛んだ。無垢の家具の重心と重量がポイントでありそうだ。

伝統家具は引き出しも重さと摩擦があり、建付けが良く飛びださなかった。見せる収納の棚は減らした方がよさそうだ。

桐の木でもオークでも、引き出しに箱や100円ショップのキルティングされた小物入れで包んだり仕切って揺れないよう緩衝して保管するのが安全だと思われる。奥行きのある重心の良いもの。箪笥は固定すると倒れないが、固定部が外れるような柔らかい素材では留め具が役に立たない。また箪笥が倒れなくても箪笥の作りが悪いと引き戸や引き出しが飛んでくる。

ロックできると良いが、内容物がマラカスのように振られて阿鼻叫喚の音になる。(すごいです)

 

棚の高さの考慮と、置き方、器の特徴ごとの配置にも工夫が必要です。

 

重要なもう一つの視点は、下に本格的な絨毯、特にウールのトルコ絨毯やウールの部族絨毯を敷いた時第一次落下物はかなり壊れにくかったのですが、さらに上から落ちてきたものの接触衝突で互いに粉みじんに。安物ほど重くて安定が悪く、棚の中や落下で周囲の高級品を破壊しまくった。マイセンだけとか、ヘレンドだけとか均一に収納した飾り棚では被害が最小限に。

お洒落と思って入れた100円の食器や重たいマグが周囲を破壊しまくる。石が中で暴れた感じ。

ワイルマンのような繊細なものとアラビアのような重いものは同じ棚に入れないのがよい。思い出したこと加筆していきます。

次回はメーカーや素材毎におきたこと。