現在音楽と結びついた作品を模索中です。不思議に思われるかもしれませんが、インドの音楽絵や中国の琴人書画など見ると音楽の情感に関わる理論体系が画の表題への影響、更に情緒表現へと深くかかわっています。これにはまず、ラーガの知識や琴学の知識が求められますが、それらを鑑賞するうえでもそれらの知識と感性が求められます。このような仕事を続けるには一般消費者を意識した商業ベースの生産は無理があります。一般向商品で稼いだ資金で好きなものを作るという手もありますが、人材の数を考えると、例えば私一人とっても物理的に無理があります。掃除機や洗濯機と違って、消費者が求める物が必ずしも良いものとは限らないのがこの世界です。

画像は18世紀のムガル系絵画の局部です。

訓練されるとこの断片を見ただけで特定のラーガが聞こえます。同時にあらゆる五感に具体的な記憶を呼び起こします。

例えば雷が聞こえたり湿度を感じたり、風を受けます。

私たちはただコピー機のように絵付けしたのではいずれAIに負けます。魂のない絵付けは人間転写です。

五感で因果性を楽しみ理解できる人たちのための作品、茶器などもまさしくそうですがそういうものを作ることが課題です。