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cielo

フィクションです。内容はありません。

この季節になると、そろそろ明るくなる時間。

私のひとつの目標に、明るくなる前に家に帰る、というのがある。

会社を出て明るいと、なんとなく気分が落ち込む。

夜勤というわけではないので

また同じ陽が出ているうちに、もう一度ここに来なければいけないのか、と思ったりする。

暗ければ、夜寝た、と思いこめるが、

薄明るいと、もう無理。

また数時間後に起きるのだ。


でもこの仕事を辞められそうにないのだ

結局


逆に

朝日の写真でも撮り貯めしてみるか…


そろそろ

引っ越しを

しよう

パソコンを買った。
カメラを買った。
服を買った。
早く全部使いたい。

次の休みにはもう、暖かくなっているだろうか。


夜の散歩が好きだ。

昔から、育った環境のためか、夜が危ないと思ったことがない。
怖いとは思ったが、それは、心情から来るもので、例えばお化けだったり。

だから、外に夜、一人で出かけるのが割と好きだ。
昼間より、まわりも孤独なぶん、あったかく感じる。

夏までに住みたい場所がある。

そこはきっと、散歩にうってつけの
散歩が好きな人がたくさんいる
そんなところだとおもう。

今年の夏はひさしぶりに街を徘徊したい。


まだまだいろいろ夢がある。
模写中。

こんな時間に、一気に読んでしまった小説を閉じ、

この文章を書いている。

もうすぐ夜が明ける。

新しい一日が始まる。

私だけ、10年逆戻りしている気分。


日差しが痛くて、木陰に隠れて、

隣合わせた瓦礫の山に気づかないでいた夏。

そもそも、瓦礫の山なんてあったんだろうか。

あの日は、晴れていたのだろうか。

ただ一人無心になって写真を撮り続けていたことだけ覚えている。

あの時のフィルムは、現像した記憶がない。


頭が痛い。

寝不足の所為か、逆行しだした記憶の所為かわからない。

これは、記憶なのだろうか。

それとも、記憶にしたい想像だろうか。

思えば、空想してばかりの子どもだった。

いや、大人になってからも、それは変わらずかも知れない。


本が好きだ。

大体日に一冊読んでいる。

そんなに暇なわけでもない、と、思う。

寝る時間はあまり欲したことがない。

夜明けの瞬間は常に覚醒した状態で迎えている。

夜型の仕事なのかも知れない。

決められているわけでもない。


なぜ今になって、あの夏を鮮明に思い出しているのかわからない。

ヒントは、写真と、がらくたと、木陰と、せみの声と、図書館と、坂道。

鮮明にというのは嘘だ。

どれもこれもぼんやりと、しかし頭から離れない。

あのフィルムに何を写したのだったか。

どこにしまったのだったか。

それがどうしてなのかわからないが気になっている。