\「誓いのプロポーズ」特典ストーリー/
「心から君を愛してる」より☆
続いてアラン編です♪
それではどうぞ!
‥‥‥‥……
とある初夏の夜のこと‥ー。
城下の視察を終えたアランと○○は、
うす暗い夜道を、一緒に歩いていた。
(なんだ、あれ‥‥?)
歩きながらアランはふと、道行く女の子たちが、
頭にティアラを乗せていることに気づいた。
(そうか、今日はティアラを乗せてもらう日‥か)
ちらりと隣の○○を見ると、
すれ違う恋人たちを、うらやましそうに見つめている。
アラン「…お前あれ、作ってねえの」
○○「え?」
アラン「ティアラ」
アランがそう尋ねると、
○○は恥ずかしそうに目を伏せた。
○○「…実は作ったんだけど、部屋に置いてあるの」
アラン「…そういうことは、早く言えよ」
(こいつ、今聞かなかったら)
(ずっと言い出さなかったかもしれねえな)
アランは○○の頭を軽く手の甲で小突く。
○○「だって…」
○○「アラン…その、ティアラをかぶせてくれるの…?」
(‥それ、こんな場所で聞くのかよ)
アラン「…さあ?」
アランは照れくさくなって、わざと笑ってみせた。
○○「いじわる」
○○は拗ねた表情を一瞬だけ浮かべると、
ふっと視線を上げて目を細めた。
○○「もし、アランとお城で出逢っていなかったら…」
○○「こうして恋人同士になることもなかったのかな」
アラン「…は?」
急に思ってもいないことを聞かれて、アランは目を見開いた。
アラン「なんだよ、それ」
○○「急に、城下に住んでた時のことを思い出したの」
○○がそう言ってにっこり微笑んだその時、
アランの肩に、すれ違う人がぶつかりそうになった。
(‥‥あっ)
アランが身体をよけて、ふと足を止めたその隙に、
○○は人ごみの中に紛れ込んでしまった‥‥。
‥‥‥‥………
(あいつ‥‥どこいった?)
見えなくなった○○の姿を探して、
アランは辺りを見渡す。
すると、ティアラをつけた女の人たちの中に
視線をさまよわせている○○を見つけた。
アラン「ったく‥‥」
その姿を見つけ、アランは安堵感のあまり思わず笑みをこぼした。
(‥‥もし、城で出逢っていなくても)
(きっと俺は、こうして○○を見つけただろうな‥‥)
アランは人ごみを掻き分けて、○○の手首を掴むと、
見上げた○○と視線が重なった。
○○「アラン‥‥」
アラン「…こっち」
○○の手を引き、人通りの少ない路地に出た。
アラン「勝手にいなくなってんじゃねえよ」
○○「ごめん‥‥」
○○はしばらくしゅんとしたように、目を伏せていたが、
顔を上げてアランを見つめる。
○○「…見つけてくれてありがとう」
その笑顔に、アランは不意に胸が熱くなった。
(見つけてくれて、ありがとう、か…)
(…らしくねえけど)
アラン「‥‥○○」
○○「なに…?」
アランは○○の髪を片手で掻き上げると、
その額に優しくキスをした。
唇を離すと、○○は頬を染めてアランを見上げている。
アラン「ティアラじゃない、お前自身に誓ってやるよ」
○○「え‥‥?」
アラン「生涯をかけて、守りたいのはお前だけだ」
アラン「…俺のそばにいろ」
○○はしばらく顔を赤くして俯いていたけれど、
やがて笑みを零しながら、ゆっくりと頷いた。
○○「…それ、お城に戻ってからも言ってくれる?」
アラン「バーカ」
アランは○○の頭に手を添えて、また深いキスを交わす。
(…こいつとの運命は、いつだって俺が決めるんだよ)
アランは密かな誓いに応えるように
夜空の月が優しく輝いた…。

