レポート続きです。

腰をすえてゆーっくり読んでください(笑)。



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いよいよスタート!



長い戦いの始まりです!!



マラソン大会のスタートは、規模の大小に

関わらずいつも同じ。


初めは群集がダンゴになって、

じわじわとしか前に進まない。



ゆっくりゆっくり。


でも焦らない。



物語の始まりは、ゆっくりがいい。


深い海の中に潜水していくように、ゆっくりゆっくり。

フルマラソンの世界へ、自分の心の奥底へ

ゆっくりゆっくり潜って行く・・・。




身動きが取れないのは、ほんの少しの間だけ。


次第に人ごみがふわふわとほどけてきて、

少しずつペースが上がっていく。



歩き・・・



早歩き・・・



ジョギング・・・



周りが空いて走りやすくなってくる。



いざ、ランペースへ。


空は晴天。気持ちが良い!

マラソンデビューに絶好の日和や!


足の痛みもない。ありがたい。

よくぞ大会に間に合ってくれた・・・!

一時はどうなることかと思ったよ。感謝。


感慨深くてちょっとこみあげるものがある。





それにしても、

驚くべきは沿道の応援!


30キロの部の川内優輝選手や設楽啓太選手が

通り過ぎたばかり。

有名ランナーを応援したその熱気覚めやらぬまま、

僕ら一般ランナーにも熱い声を投げてくれる。


イヤホンの音楽越しにも声援が聞こえてくるからね。

感謝です。




さぁ、序盤の鉄則はペースキープだ。


設定どおり1キロ5分50秒ペースでいくぞ。


はやる心と身体を鎮めながら、

1キロ・・・2キロ・・・・・。


後からどんどん抜かれていく。上級ランナーだ。

つられて足が速まる。

ペースを上げそうになる。



抑える。




やっと、ペースがつかめてくる。

キロ5分45秒ペース。


そうだ。これくらいだなっ。

足と呼吸のテンポが身体に馴染んでくるのが

分かる。安定してきた。


これよりペースを上げる必要はないんだぞ。

後半しっかり走りきるためにも、このペースを

遵守するんだ。



3キロ・・・4キロ・・・。




5キロ地点では、妻が子供達と沿道で応援

しているとのことだったのだが、あまりの応援の

人の多さに見つけられず!!


くぅ~!!悔しい!!


息子ーーーー!!!!


タッチしたかった!!





大きな坂を上る。下る。




よし、きつくない。

脚に負荷を感じない。

坂練習の成果が出ているぞ!!


よし!よし!!




トンネルを抜ける。


不意に後ろから、緑色のビブスを着て風船を

身体に紐でつけたにーちゃんが現れた。


ビブスに文字が書いてある。



「4時間 ペースセッター」


ペースメーカーか!


紐で結わえた風船は、離れたところからでも

ランナーを見つけられるようにするためだ。

同じ格好で同じように風船をつけたにーちゃんが

3、4人次々と現れる。



このにーちゃんたちにずーっとついて行くことが

できたら、4時間切れるってことだな。


彼らは、1キロ5分20秒ペースくらいだろうか。

5分45秒ペースの僕と少しずつ差が開いていく。



ついて行きたい。



ついて行きたいけど・・・

まだ、今の僕の走力ではちょっと無理やな。



そう思った瞬間。



「よう。」


後から、見知った顔が横につき声をかけてきた。


なんと、他支店の支店長(46歳)!

趣味がランニングのスポーツマン。


出てたんですか!県外からわざわざっ!



お疲れ様ですと頭を下げる僕に

「あの緑のランナーが、サブ4の目安やで」

と言い残し、「ほなね。」

颯爽と駆けていく。


はやっ。



会話終わんのはやっ。




支店長、サブ4狙ってるんだな。

かっこいい。


まぶしいな・・・。



今のオレには無理だけど。



いつかは。



いつかは。









10キロ近くで、30キロの部のトップ集団

すれ違う機会が訪れた。


みんなが反対車線側に寄って走っているので

何事かと見てみると、遠くから近づいてくる

ハイスピードのトップランナーたち!!


川内選手に、外人のなんとか選手。

オレの好きな東洋大の設楽啓太選手もいる!


初めて肉眼で見る国内トップランナー!


すげぇ!!



黄金のオーラに包まれた集団が、空気を

切り裂いて迫ってくる。


張り詰めた緊張感。


一瞬で通り過ぎる。


疾風!


思わず鳥肌が立つ!




すげーっ。

オレも、負けないぞ!






10キロ通過タイムは。

57分30秒!


よし、順調!このペースでいい!





コースは田園地帯へ。


10キロを過ぎたので、ポシェットからアミノ粉末を

取り出し、給水所のアクエリアスで流し込む。


給水所が豊富に設営されていて、サプリユーザー

にはありがたい!

アミノ粉末が袋から出てこず軽くパニクったけど!




13キロあたりから、沿道にもバナナやおにぎり、

チョコレートなどが出始めた。


エネルギー切れを起こし始める距離だからだ。


こここらへんが地元の応援の人たちのあたたかさ

だよな。素晴らしい。

「あざっす!」と言いながら手に取ったバナナで

エネルギーを瞬間補給。



なおかつ、おにぎり片手にもぐもぐラン。



今はお腹が空いていなくても、先のために貯蓄。

エネルギー切れしてから食べるんじゃ遅いからね。

重くならない程度に、コンスタントに食べながら走ろう。


田園を過ぎ、昔ながらの酒蔵の地域を過ぎ、また田園へ。


16キロ・・・


17キロ・・・




手元のランウォッチに目を落とす。


疲労は、自分が気付かないうちに少しずつ、

でも確実に身体を侵食して

きてる。



まだ、1キロのタイムは5分45秒~50秒のまま

保てているけど。


4分ちょうどのタイミングで、前方に見つけ確認する

次の距離表示看板。


初めより、遠くなってきてる。



何メートルだろうか。


時間にして5秒、いや10秒、

遅れ始めてる。


最後の2分弱で、その10秒分の遅れをカバーしている。



そのことに気づく。




当たり前だ。

20キロまでくれば、そりゃ疲れも出てくるさ!!


まだまだこれから、これからだ!!



20キロ通過タイム、

1時間54分25秒!



よしっ!



自分の身体と会話してみる。


心肺、酸素運搬系統は?


大丈夫。



足。足首、ひざ、足のつけ根は?


・・・・もーけっこしんどい。

特に付け根と足首が。


もとい。大丈夫!





今からは、キロ6分ペースに落としていい。


30キロまでは6分ペース。

それでも当初の設定6分半からは30秒も速い

からね。


でも6分ペースからは

絶対に遅れないぞ。



沿道の少年少女が手を差し出してくれている。


息子、娘と重ね合わせて、タッチしながら走る。

勢いがついていい感じ。


ぼちぼち歩いている人も見かけるようになる。


脚のつり、豆つぶれ、エネルギー切れ・・・。

いろんな理由で立ち止まってるんだろう。

頑張れ。気持ちを切らさず。頑張ろう!



得意先の会社の前を通り過ぎる時、知り合いの

セールスさんが手を振ってくれた。


にこやかに飛び跳ねて手を振った後、

ものっすご無理してんなオレ、と思う。




脚が痛む。

付け根、足首。ひざ。



痛い。


痛いから何なんだ。

こっからだろうがよ!



なんとか1キロ6分をキープ!



田園を抜け、25キロからは大きな国道へ戻る。

ここからは長い長い直線だ。


また歩道の少年少女とタッチしながら進む。


公式写真撮影ポイントでは胸を張って走る。

テレビカメラも多数配置されている。

テレビ映ってるかな。



きつい。


きついけど。


どんな一瞬を抜かれても、勇猛果敢な自分が

そこに在るように。


きつい表情はしないぜ!!



肩回りも痛み出し、気持ちがくじけそうになる。

でも負けない。




ふと。

周りを見渡してみる。


10人くらいの集団走の中にいる自分。


そういえば、

ここ2、3キロくらい、ずっと

同じメンバーで走ってるん

だよね・・・。


同年代とおぼしき青年。

女性ランナーもいる。

50代くらいの男性。すごいな。



そうだよ。

僕らは同じ走力の集団なんだ。

負けてられない。




同じ距離を走ってきて、

同じだけ疲弊し、

同じだけ体力を消耗している。




そして。



同じだけ、

まだ力を残している。






見えた!30キロの看板!!


遠いーっ!

必死で駆ける。駆ける!


30キロ通過タイム、

2時間54分21秒!


よしっっ!!!

1時間で走りきれたぁぁぁぁ!!!





30キロにして、初めての屈伸タイム。

体中がこわばっている。



こっからだ・・・。

こっからが本当の勝負。


休憩時間は30秒。


よし、行こう。行かなくちゃ。




残り12キロ。



この12キロに全てを賭ける!!










続きますうううううううぅぅぅぅぅぅ!!!!