パァン!!


いよいよ号砲が鳴り響いた!


スタートです!


こうなったらくよくよ考えててもしかたねぇ!

気合で走るのみだっ!


その瞬間。


ドンゥ!!


前にいた走者達が、一気に消えた。



・・・えっ。


何だ!!!???


いない!!



いや、いる!!・・・・遥か前!!


スタートと同時に一気に引き離された!



何て脚力!!!


何なんだこいつら!!


慌ててペースを上げてくらいつく。

いや、食らいつけない。どんどん離される。


ぐう!!


オレだって、今日は調子がいいんだっ。

負けるか!せめて1周目は・・・



長くゆるやかな上りの直線。


いきなりの屈強アスリートたちのスタートダッシュに

ビビらされたけど、こっちだってそれなりにトレーニングを

積んできたという自負がある。


ひるむことはないっ。



しばらく走ると、コースは競輪場のそれのように左に

大きく緩やかなカーブを描き、下りへ変化していく。


足のリズムと呼吸のリズムがバラバラなことに気付いた。

呼吸のリズムを合わせないと。

疲れが倍増してしまうな・・・


落ち着け落ち着け、魂は熱く、心は冷静に・・・。




下り。


汗が噴き出してくる。

肩でぬぐいながら走る。



順位的には、かなり後ろの方にいるのは間違い

ないんだけど。


順位はどうあれ、自分の納得のいく走りをしたいな。




踏み込む芝は長く、重い。


ゆっくり走った練習ランの時には気づかなかったけれど、

スピードを上げようとしてもなかなか上がらない・・・。


足で地面を踏む力が、芝に吸収され消されている感じだ。

初めての感覚だ、これは。


これが、芝か。




しんどいっ。


しんどいって言うなっ。



さらに後ろからどんどん抜いていかれる。


ふいー、こいつら・・・。

この暑さをものともしてねーのかよ・・・。




急な下り。角度のある坂道。

バタバタと駆け下りていく。


山道。土の上を駆ける。

上り坂。


さぁ、ハードになってきたぞ・・・!!!



お城のトレーニングを思い出す。

毎朝毎夜続けてきたお城の坂上り。


怖くない。


坂道、怖くないぞ!!!




階段を駆け上っても、さらにさらに続く上り坂。


足は前に出る。出てくれる。

練習の効果が確実に現れている。


いける、いける!!!よし!!!


脚力と共に、心も強くなっていることを実感。

自分を頼もしく思う。





1週目、第4コーナーを曲がり最後の直線。

延々と続く芝の上り坂。


スタート地点が遥か先に揺らめく。



足が重い・・・

給水ポイントの水を頭からかぶりたい衝動に駆られる。


スタート地点が全然近づいてこない!果てしなく遠い!


前に進まないっっ!!



アスファルトで練習してきた自分の前に、足の長い芝が

立ちはだかる。


前に進もうとする身体を、

クッションでぐいと押し戻される感じ。


思わず身体が力む。


呼吸が乱れる。


そして暑い・・・熱い!




なんとかかんとか力を振り絞り、スタート地点の寸前まで来た。



よし、1周目なんとか終了だ!


コース脇に、大きなタイムデジタル表示計があることに

気付いた。


何分だ???全然わからん!!感覚が!!!



1周目。タイムはっ・・・



「00:15:19」



15分!!


速い!!


おおおおお!


目標1周20分のところ、15分で走れた!速い!

しかもこの山道で!


全然進んでいかないと思いながら走ってたけど、

やはりオレ、かなり力が

ついてきているんじゃなかろーかっ!


走りながら小さくガッツポーズを繰り返す。


さぁ、2周目!行こう!!いこうぜ!!









・・・・・ん?








ふと。


汗をぬぐいながら思った。




待てよ。





3キロ15分でしょ。


てことは1キロ5分。


てことは10キロジャスト50分ペース。



この芝、この山道、で・・・???



オレ、そんなペースでいつも走ってたっけ?



走れてたっけ??








これって・・・。





3周もつの??





これって・・・。




明らかなオーバーペース

なんじゃないか??





そう気付くのと、僕の両膝がガクンと崩れ落ちるのは

ほぼ同時だった。





後ろの走者にぶつかり、弾かれる。


「あっ・・・、すい・・・すいません!」

芝に手をつき、コースの端へなんとか逃げる。




足が。


足が・・・動かない。



立ち尽くす。



気がつかなかった。


極度の疲労が、既に僕の両脚を

喰らい尽くしていた。





ペース配分失敗・・・・!!!





後ろから僕をどんどん追い抜いていく走者達。



しまった・・・!!!


これまでの大会でわかりきっていたことだろう。

序盤はペースキープ。

これが鉄則だって。



今回はクロスカントリー。

長い芝。山道。坂道。炎天下。


通常よりも過酷な条件化で、なぜ自分のペースを

作れなかった・・・?



・・・ブランク・・・!!


1週間ぶりのラン。

軽やかに動く身体が、判断を誤らせた・・・!!


舞い上がっていた・・・・!!!






震える両膝は止まってくれない。


自分の呼吸の荒さが分かる。

肩で息をしている。



わずか1周で、体力は底をついていた。





くそっ・・・!!くそっ・・・!!!


こんなはずじゃ・・・!!!



天を仰ぐ。



太陽。






まけるかっ・・・・!!




歩き出す。





進まなきゃ・・・・



前に・・・!!!






前に・・・・!!!








続きますううううううううううううう!!!!







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毎度毎度レポートが長くてすいません(笑)!


やはりマラソンは、走ってる時の心理のあり方が

一番の醍醐味だと思うので、どうしてもそこを

描きたいのであります!


みなさん分かってくれると思いますが・・・(笑)。


読んでて、そうそうこういうことを考えながら

走るよねーと共感してもらえたら嬉しいです!!


あと1回、この暑苦しい大会レポートにおつきあい

下さいまし★