私の職業は

 

 私は飲食店で働いている


ブラックだなんだと言われるが

私は飲食店が好きだ


もちろん理不尽な事で

怒られたりする

その時は辛くなったりするが


歳を重ねるに連れて

この人は物凄くお腹がすいてるんだな

と思うようになってきた


なにかこう

お客様の笑顔がみたい!

とか綺麗事はないのだが


自分が他の飲食店に行った時に

こうだったらいいのになとか

こうして欲しかったのになと

言うのを積極的に取り入れている


小さな自分の自己満を

積み重ねていけるのが

飲食店だと思っている


私は10代の頃

髪型とピアスを外したくないと

とんでもなくしょうもない理由で

個人店の飲食店で働いていた


そこは小さな店だったが

いつも満席だった


初めての飲食店でしかも

私とマスターの二人体制で回す店で

戸惑う事も怒鳴られる事もあった


私があまりにも怒鳴られるから

お客様がまあまあと

マスターを宥める事もあった


でもマスターが本当に仕事のできる人で

色んな事を教えてくれたし

沢山優しくもしてくれた

暖かい人情味溢れる人だった

今でも尊敬している


少し前にマスターの店を訪ねたら

少し丸くなったが

今だにアルバイトの子に

怒鳴る事もあるらしく

「でもこういうのは今ではパワハラってゆわれちゃうんだね」と少し悲しそうだった

ただ当の本人は

「マスターは間違った事言わないので気にしてません!」と言い切っていた

どうやらお客様に言われたらしい


確かにお客様の前で怒鳴るのは

不愉快になるかもしれない

裏でやれよ!と思う人もいる


ただマスターが私に怒鳴っていたのは

私を傷つけないためなのだ


例えば私が粗相をして

お客様に水をこぼして

しまった時


本来ならばお客様が

「なにやってんだよ!」

 と怒鳴ったりする


でもその前にマスターが私に

すごい勢いで怒鳴るのだ


するとお客様も

「まあまあマスターいいから

次からは気をつけなよ」

と宥めてくれる


2年その店で勤めたが

色んな失敗をしても

マスター以外からは怒鳴られた事はない


マスターが昔私に言った


「個人店をやる人はね

結局は社会に合わなかった人が多いんだよ」


若い時は何故だかわからなかった

こんなにも仕事が出来て

人から慕われる人なのに


ただただ個人店をできる人は

漠然とすごい人なんだと思っていた


でもチェーン店で働く今ならわかる


私もいつかマスターの様に

小さな自分の城を持てたらいいなと思う


 

 

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