副将としてチームを牽引する早坂。
横浜F・マリノスユースで培った確かな技術と豊富な経験は、チームにとって欠かせない存在となっている。
仲間と掲げた目標、そして、早坂自身の抱く大きな夢に向かって、一歩一歩着実に歩みを進める。
「マリノスでサッカーがしたいという特別な感情はなかった。」
と話す早坂は、小学6年生の時、親の勧めでマリノスのスペシャルクラスに入る。
そこから高校3年までの7年間、マリノスでサッカー人生を送ることとなる。
高校3年の時、
「監督からの頼みで驚いたけど、時間をおいて考えて決めた。」
とキャプテンとして迎えたクラブユース選手権。
前年準優勝の悔しさと仲間と掲げた三冠達成への強い想いを胸に、順調にコマを進め、「チームの雰囲気も良くて、いい練習が出来ていた。」と手応えを感じていた準決勝の前々日の練習を、喜田拓也選手(現横浜F・マリノス)が観に来ていた。
喜田選手は「あの人は本当に凄くて、どんな状況でも声やプレーでチームを鼓舞し続けて、絶対に欠かせない選手。普段は優しくて面倒見がいいし。」と、早坂が尊敬してやまない選手である。
練習後、喜田選手から
「激励の言葉をもらえるのかと思ったら、『こんなんじゃ甘い。このままだと勝てないぞ。』と厳しい言葉を言われて、正直驚いた。」
しかしこの言葉で、早坂やチームメイトの気がより一層引き締まり、見事に全国制覇を成し遂げることが出来た。
キャプテンとして日本一に導いた早坂だが、高校3年の9月、トップ昇格は厳しいということを告げられる。
しかし、「その時は落ち込んだけど、すぐ、絶対4年後にまた戻って来るって気持ちに切り替えた。」と、次のステージでの飛躍を目指した。
多くの大学からオファーがあったが、練習会に参加して、やっているサッカーがマリノスに近いと感じた中央大学への進学を決める。
そして入部する同期のメンバーを見て、「凄い選手ばっかりで、これはいける。ここなら日本一を目指せる。」と思ったという。
しかし今までの大学生活を振り返ると「悔しい思いをたくさんした感覚があって、練習後に泣いた日もあった。」という。
1年の時から活躍している同期がいるのに、自分が出ていない悔しさや、手術するほどの大きな怪我を負うなど、辛い日々の方が多かった。
だが、「自分たちの代で1年生の時から何度もミーティングをして、日本一っていう目標を掲げていた。」と話すように、大切な仲間と掲げた目標があったからこそ、どんなに苦しい状況でも何度でも奮起することが出来た。
そして最高学年として迎えた今シーズン、昨シーズンまでとは異なるポジションで、難しいところもあるが、
「元々ボランチだけど、得点に絡みたい欲があって。1列前のポジションにしてもらって、攻撃に関われる回数が増えた。」とポジティブに捉えられている部分もある。
今年のチームに関しては、
「1年を通しての積み重ねで最後に結果を出すのは俺たちだっていう意識でやれているし、勝っても負けても一喜一憂せずに出来ている。去年までとは違う。」と自信を見せながらも、「まだまだやれる。」と妥協は一切ない。
早坂の理想である「1人1人が自立し、全員で1つ1つ乗り越えていける。勝ち続けるチーム。」に少しずつ近づいているのかもしれない。
1年生の時から常に仲間と目標としてきた「全タイトル奪取」に向け、早坂は副将として「チームが良い時は意外と当たり前のことが見落とされがちだから、そういう時こそチームを見つめて、逆に良くない時はポジティブな言動でみんなをサポートする。」ことを意識している。
今年のリーグ戦期間の最中、マリノスのトップチームの練習に参加した。
「楽しんでこようという感情ではなく、この練習参加に人生がかかってるという想いと今までの想いとかを全部ぶつけてやろうっていう気持ちだった。」
「自分のプレーは出せたが、もっとやらないと監督に目を向けてもらえない。」と感じた早坂は、自分の甘さを改めて知ることができ、普段の練習から高めていきたいと意気込む。
「マリノスで6番を付ける。」
その夢にはたくさんの想いが詰まっている。
「もちろんそこで終わりじゃないし、そこからさらに上を目指す。」と前置きし、
「ずっと目指していた憧れの場所で、大好きなマリノスのエンブレムを付けてプレーをしたい想いが強い。それと、その姿を家族とか今まで支えてくれた人たちに応援してもらいたい。」と力強く語った。
まずはそのスタートラインに立つために、「仲間と目標を達成することが今はかなり大きい。」と話すように、大切な仲間と今出来ること、今しか出来ないことに全力を注ぐことが良い結果に繋がると信じている。
「親には感謝しかない。今まで支えてきてくれたし、そもそもサッカー出来てるのも親のおかげ。」
男4兄弟を育ててきてくれた親にはとても苦労を掛けたと話す。
試合に足を運んでくれるという家族に対し、
「これだけじゃ恩返しとは言えないけど。家族が観てるとこで点決めたりして、少しでも恩返ししたい。」と早坂家の次男は、ここまで続けさせてくれたサッカーで親への感謝を表現したいと強く想っている。
サッカーを通じて多くの人と出会い、成長を続けてきた早坂。目の前のものを1つ1つ謙虚に取り組みながら、見据える夢の実現に向け、これからも決して歩みを止める事なく進み続ける。
その計り知れない想いを胸に、その挑戦は始まったばかりだ。
◎プロフィール◎
早坂 翔(はやさか しょう)
MF 4年 経済学部
1995年9月23日生まれ
172cm/67kg
藤沢FC→横浜F・マリノスジュニアユース→横浜F・マリノスユース