これはChatGPTのDeep Research機能で生成された記事です。内容は参考用であり、真偽の確認をお願いします。

 

乙女もボーイズラブもまとめて面倒見ちゃう?! 

――既存の枠を超えた恋愛テキストADV「Amare」の世界を探る

 

「Amareゲーム」とは何か?その誕生と背景

「Amare(アマレ)」 とはラテン語で「愛する」という意味。その名の通り“愛”をテーマに据えた物語ゲームの新ジャンルだ。英語圏のインディーゲーム開発者コミュニティから生まれたこのタグは、一言でいえば\「関係性重視の物語ゲーム」における包括的ジャンルラベルである (Amare - VNDev Wiki)。恋愛を中心に据えつつも、登場人物や制作者の多様性を重んじ、作品ごとの雰囲気は千差万別。乙女ゲーム・BLゲーム・百合ゲーム(女性同士の恋愛)といった既存カテゴリの要素を縦横無尽にブレンドしながら、いずれにも収まりきらない自由な作品群を指す (Amare - VNDev Wiki)。まさにボルヘスの図書館に新設された棚のように、「Amare」の名の下に雑多な物語が並ぶ様は混沌…もとい、壮観だ。では、なぜ今このような新ジャンルが必要とされたのだろうか?

 

発端は、多様な恋愛物語を創作する開発者たちが既存コミュニティで肩身の狭い思いをしていたことにある。例えば主人公や恋愛相手の性別設定が従来の枠に当てはまらないゲーム――男性同士の恋愛要素があるのに「純粋なBLゲーム」ではない作品や、主人公の性別を選択できる乙女風ゲームなど――は、従来のファン層から敬遠されたり投稿先に困ったりするケースがあったという。実際、一部の小規模開発者たちは「安全だと思っていたコミュニティ」で作品発表後に嫌がらせや低評価レビュー爆撃に遭い (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)、声を上げづらくなる問題も起きていた (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。そうした背景から、「自分たちの居場所が欲しい」「もっとインクルーシブ(包括的)な場を作りたい」という開発者有志の想いが高まり、新たなタグ「Amare」が誕生したのである (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。匿名の小規模デベロッパー数名によるコミュニティ発の取り組みで、特定の誰かが商標のように独占するものではないという (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。その精神はゆるやかで、“必ずこうでなければならない”という厳格な定義もない。「ガイドラインはあくまで指標であって絶対的なルールじゃない。気に入ったら誰でも自由に使っていい」という海賊の言葉めいたジョークまで飛び出すくらいだ (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。要は多様性と寛容さこそがキモというわけだ。

 

では実際、「Amareゲーム」にはどんな特徴があるのだろう?一つ明確に言えるのは、主人公や恋愛相手の性別・性的指向による制限を設けないこと (Amare - VNDev Wiki)。女性主人公が男性キャラを攻略する乙女ゲームの形式もあれば、男性主人公で男性キャラと恋愛(いわゆるBL)もあるし、男女問わず全員を落とせる作品もある。また恋愛描写のテイストも固定されていない。ピュアで甘い初恋もあれば、刺激的な大人の恋、時には友情止まりのプラトニックな関係だってOKだ (Amare - VNDev Wiki)。要するに「こうでなければAmareと呼ばない」というより、「他のタグでは表現しきれない要素があれば遠慮なく使っていいよ」といった懐の深さがポイントなのだ。 (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)こうした柔軟さのおかげで、ノンバイナリー(※男女どちらにも当てはまらない性自認)の主人公やキャラクターもしっかり居場所を得ている (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。既存の乙女・BL・GLといった各コミュニティの境界線にまたがるゲームたちが、「Amare」の旗の下にゆるやかに連帯しているイメージだろうか。

 

もっとも、「Amare」は他のタグの代わりに既存ジャンルを駆逐しようという動きではない。むしろ「好きな人は併用すればいいし、嫌なら無理に使わなくてもいい」程度の緩い提案だ (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。肝心なのはマーケティング上の利点である。小規模なインディー開発者にとって、自分の作品に合ったオーディエンスを見つけることは死活問題だ。せっかくニッチでも熱心なファン層がいるのに、「このコミュニティではルール違反」と締め出されてはお互い不幸である (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)。例えば「緑髪の男の子とキスできるミステリーが好きな人たち」が集まる場所があるなら、そこに作品を届けたいし、ファンにとっても願ったりかなったりだろう (What is Amare? – Jaime Scribbles Games) (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)(※筆者注:「緑髪の男の子」は特定作品の例え)。Amareタグの提唱者たちは、そうしたニーズのマッチングを助けたいと考えた。現に「多様な恋愛ゲームを求めるプレイヤー層は確実に存在する」 (What is Amare? – Jaime Scribbles Games)わけで、作品と読者(プレイヤー)双方にメリットがあるはずだという目論見だ。こうしてTwitterではハッシュタグ「#AmareGame」「#AmareDev」が呼びかけられ、Discord上に開発者コミュニティも立ち上がり、毎年春には「Amare Games Festival」というオンライン催事まで開催されるようになった (Amare - VNDev Wiki) (Amare - VNDev Wiki)。2022年から始まったこの祭典には年々多くの新作・体験版・アップデートがエントリーし、文字通り“愛と多様性を祝う”お祭りとして盛り上がりを見せている (Amare - VNDev Wiki) (Amare - VNDev Wiki)。英語圏では隔週ニュースレター(Amare Bulletin)も発行され、着実にコミュニティが育ちつつあるようだ。専門用語だけ聞くと何やら小難しく感じるかもしれないが、その実態は「好きなものを好きと言える場所をみんなで作ろう」というシンプルで熱いムーブメントなのだ。では、具体的にどんなゲームが「Amare」を名乗っているのか? いくつか代表的な作品を覗いてみよう。

『Our Life: Beginnings & Always』――人生を共に歩むやさしい恋

夜の丘に座る幼馴染の少年Cove。8歳の夏、プレイヤー(主人公)と彼の出会いから物語は始まる (Our Life Beginnings and Always Review - A One of a Kind Life | Blerdy Otome) (Our Life Beginnings and Always Review - A One of a Kind Life | Blerdy Otome)。

 

アメリカ・カリフォルニアのインディースタジオGB Patchが2020年にリリースしたフリーゲーム。ジャンルは一応ビジュアルノベルだが、内容は異色だ。なんと主人公の幼少期から青年期まで15年間の人生を追体験するスライス・オブ・ライフ(日常青春)ストーリーなのである (Our Life Beginnings and Always Review - A One of a Kind Life | Blerdy Otome)。

 

架空の海辺の町「サンセットバード」を舞台に、主人公(プレイヤーは名前や容姿、性別設定を自由に変更可能)と隣に引っ越してきた同い年の少年Cove(コーブ)との関係を丁寧に描いていく。8歳で出会ったぎこちない友達付き合いから始まり、思春期の微妙な心の機微、そして大人への一歩を踏み出す瞬間まで…。文字通り「人生を一緒に歩む」感覚を味わわせてくれるゲームだ。

 

乙女ゲーム的な胸キュンもありつつ、物語の根底に流れるのは家族や友情も含めた人と人との結びつきへの優しい眼差し。プレイヤーの選択でエンディングが分岐するものの、良い/悪いといった単純な優劣はなく、各プレイヤーにとって“一度きりの人生”が紡がれる (Our Life Beginnings and Always Review - A One of a Kind Life | Blerdy Otome)。まさに「唯一無二の体験」と評されるゆえんだ (Our Life Beginnings and Always Review - A One of a Kind Life | Blerdy Otome)。実際、リリース後には「郷愁を誘う夏の雰囲気と魅力的なキャラクターたち…『Our Life』は本当に他にないゲームだ!」といった熱烈なレビューも多数寄せられた (Our Life Beginnings and Always Review - A One of a Kind Life | Blerdy Otome)。筆者もエンディングに到達したときには、自分が見届けた主人公とCoveの15年間にじんわり胸が温かくなり、「ああ、良い人生だった…」と思わず呟いてしまったほどだ。

 

ゲームシステム面でもユニークな工夫が光る。本作では物語を年代ごとに章分けせず、“Moment(思い出の一幕)”と呼ばれる小エピソードの集合体として構成している。プレイヤーは提示された複数の「思い出」から好きなものを選んでプレイでき(全部遊んでもいいし一部だけでも良い)、選択したエピソードの積み重ねによってキャラクター達との関係性が変化していくのだ。まるで写真アルバムに好きなページからそっと手を伸ばすようなこのシステムは、プレイヤーそれぞれの思い入れに応じて物語体験をカスタマイズできる工夫と言える。さらに主人公の人格形成すら自在だ。内向的か外交的か、恋愛に奥手か積極的か、といった性格パラメータを随時変更できるため、幼馴染への想いを「友情止まり」にするか「恋愛感情に発展させるか」もプレイヤーの心のまま。 (5 Free Indie Otome Games You Should Be Playing | Blerdy Otome)このように細部までプレイヤーの意思を尊重する設計は、固定シナリオを読み解くタイプの従来型ADVとは一線を画している。開発者によれば「本作に“ゲームオーバー”や明確なバッドエンドは存在しない。プレイヤー体験そのものを重視したいからだ」とのことで、まさに徹底してユーザーに寄り添ったデザインだ。結果として、本作は「心が洗われるようなホスピタリティを持ったゲーム」に仕上がっている。穏やかな浜辺の風景と耳に心地よいBGMに包まれてプレイしていると、不思議と気持ちがほぐれ、自分自身が大切にされているような感覚すら覚える。気がつけばプレイヤーもCove少年に対して幼なじみのような愛着を抱いており、彼の些細な仕草に「尊い…!」とニヤけたり、選んだ進路にしんみりしたり。ゲームを遊んでいるはずが、まるで一本の長編青春映画を見届けた気分なのだ。

 

もっとも、甘々一辺倒の理想郷というわけでもない。舞台となる小さな町での日常は基本的にのどかだが、現実と同じく時に影も差す。主人公の家庭にはある事情があり、Cove自身もまた心に傷を抱えている。とはいえ昨今流行りのドロドロとした展開や鬱要素とは無縁で、それらを含めて「人生の一部」として静かに受け止める作風だ。プレイヤーの選択次第ではそうした悩みに深く踏み込まず物語を進めることもできるし、逆に積極的に寄り添っていくこともできる。ここでもプレイヤーの自由が大切にされているわけだ。結果、重たいテーマも必要以上に重くならず、後味の良い爽やかな物語として完走できる。総じて『Our Life』は優しさと包容力に満ちた作品だと言えるだろう。公式にはAmareタグを前面に押し出してはいなかったものの、その精神を体現したようなタイトルであり、多くのファンから愛されているのも頷ける。「人生の断片を積み重ねていく」というゲーム性は唯一無二で、プレイヤーが自分自身の思い出を振り返るきっかけにもなり得る。果たしてあなたなら、このゲームでどんな人生を歩み、どんな愛の形に辿り着くだろうか?

『When the Night Comes』――闇と共に来た恋人たち

一方、こちらはガラリと雰囲気が変わってダークファンタジー×ミステリーの物語だ。『When the Night Comes』(夜が訪れるとき)はイギリスのLunaris Gamesが手がけた連続殺人事件もののヴィジュアルノベルで、2019年から20年にかけて全6章が順次公開された(現在は全章をまとめた完全版がSteam/itch.ioで入手可能)。プレイヤーは魔物専門の狩人(ハンター)となり、不気味な小町ルナリスで起きた猟奇事件の真相を追うことになる。吸血鬼、魔術師、悪魔、人狼…およそ乙女ゲーム的な恋愛とは縁遠そうな怪異が次々と登場し、ストーリーは血の匂いと陰謀渦巻く展開へ。しかしそこはAmare作品、調査の過程で出会う個性豊かな登場人物たちとの関係構築がもう一つの軸となる。実は本作、6人の魅力的なキャラクターを恋愛対象(Love Interest)にできるマルチエンディングADVなのだ (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome) (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome)。しかも特筆すべきは、その内訳にある。6人の内訳は男性キャラ3人・女性キャラ1人・ノンバイナリー1人(※残り1人は男性寄りの悪魔)と実に多彩で、主人公の性別も男女選択可能なので組み合わせは自由自在 (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome)。ゲームの雰囲気こそホラー調だが中身は極めてLGBT+フレンドリーであり、文字通り老若男女ならぬ「全性別歓迎」の懐を見せつけている。

 

恋愛の描写もユニークだ。6人いずれともロマンス可能なのはもちろん、更に特定の二名を同時に攻略できる特殊ルートまで存在するのだ。例えば《魔術師エズラ&吸血鬼フィン》あるいは《悪魔オーメン&人狼アルカー》のように三角関係ではなく三人で円満に結ばれるポリ恋愛(多重恋愛)が用意されている (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome)。ゲームにおけるポリアモリー恋愛の導入は珍しく、日本の乙女ゲームではまず見かけない要素だろう。「他のゲームでは見られない斬新な試みで、大歓迎だ」と海外レビューでも好評を博していた (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome)。実際プレイしてみると、このポリ恋愛ルートがなかなか糖度が高い。選んだ二人組それぞれとのロマンスが並行して進み、やがて三人の関係が一つに収斂していく展開は、“推しカプ”(推しのカップリング)文化に親しんだ身としてはニヤニヤが止まらない。禁断どころか尊みが深い関係性に仕上がっており、「公式が最大手」(※同人界隈の俗語:原作者自らファンの欲する展開を供給してくれる意)とはまさにこのことだ。もちろん一対一の恋愛も充実しており、キャラクターごとにエンディングも複数用意されている。中には3P展開どころか全員と友情エンドという選択肢まである凝りようで、どんなニーズにも応えようとするサービス精神がうかがえる。

 

肝心のストーリーはというと、本格的なホラー・ミステリーとしても十分読み応えがある。章ごとに少しずつ事件の核心に近づいていく構成はスリル満点で、一度読み始めると先が気になって止まらない中毒性がある (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome)。筆者も気付けば夜更かしして章を読み進め、「次のチャプター更新まだ!?」と悶えていたクチだ。海外レビューでも「各章ごとに巧みに緊張感を高め、読者を飢えさせるコヨーテのようだ」などと例えられていた (When the Night Comes Review - A Devilishly Addictive Supernatural Mystery | Blerdy Otome)が、まさにその通りだろう。物語後半ではプレイヤーの選択によって誰が黒幕かが分岐するギミックもあり(いわゆる犯人当て要素)、推理ゲーム的な遊びも用意されている。恋愛要素とのバランスも良く、シリアスなメインプロットの合間に仲間キャラとのイベントが程よく挟まれるため、緊張と緩和のリズムが心地よい。仲間として信頼していた相手が恋愛対象に昇格していく流れも自然で、物語とロマンスの両立に成功している印象だ。作中では人間と異種族(ヴァンパイア等)との相互不信や差別感情もテーマとして描かれるが、これは現実世界の偏見のメタファーとも読める。多様なキャラクターたちが困難を乗り越え協力し合う展開は、ゲームの外側で「Amare」という場を作った開発者たち自身の物語ともどこか重なって感じられた。作り手の理念とフィクションが響き合う、熱量の高い作品である。

 

完成度の高さもあってか、『When the Night Comes』は「Amareゲーム」の成功例としてたびたび名前が挙がる。前述のLunaris Gamesはその後ファンタジー大作『Errant Kingdom』を手掛け(こちらも多様な恋愛が可能な意欲作だったが開発難航の末に残念ながら未完)、さらに現在はクトゥルフ神話系ヴィジュアルノベル『Call Me Under』を制作中と精力的だ。小規模スタジオながらKickstarterで資金調達を行うなど注目を集めており、「Amare」という旗印がインディー開発者の躍進を後押ししている好例と言えるだろう。魔物も人も関係なく愛し合い助け合う彼らの物語は、きっと今日もどこかで新たな読者の心に火を灯しているに違いない。夜が訪れるとき、あなたなら誰の手を取るだろうか?

多彩なAmare作品:アーケードの恋から宇宙の愛まで

以上2作は比較的まっとう(?)な恋愛ADVの形式だったが、「Amare」カテゴリには他にもバラエティ豊かな作品がひしめいている。その幅広さたるやジャンル的カオスと言っても過言ではない。例えば、1980年代アーケードゲーム文化への愛を詰め込んだコメディ調のADV『Arcade Spirits』シリーズもその一つだ。架空のゲームセンターを舞台にしたこの作品では、プレイヤーは性別や容姿を細かく設定可能で、男女含め7人いるキャラクター全員を自由に口説けてしまう。 (Amare - VNDev Wiki)主人公の見た目や名前もカスタマイズでき、恋愛対象ごとに決まった「攻略ルート」を辿るというより、自分自身が物語の中に入り込む感覚が強いゲームだ。開発チームは「恋愛シミュレーションは誰もが楽しめるべき」という理念を掲げており、男女の別なく好みの相手と絆を深められるようデザインされている。実際Steamのユーザーレビューでは「Arcade Spiritsはオレが心底惚れ込んだ初めての恋愛シムで、その続編もその路線を引き継いでいる。とにかく可愛くて笑えて、クィアな選択肢が満載だ」 (Arcade Spirits: The New Challengers op Steam)と絶賛する声も上がっている。80年代ポップカルチャーへのオマージュやオタク的ユーモアも満載で、プレイヤーのニヤニヤが止まらない作品だ。まさに「コージー(居心地が良い)でクィアなゲーム体験」を地で行く一本である。

 

また、ゲームエンジンという点から見ると、必ずしもビジュアルノベルに限らないのもAmareならではだ。テキスト主体の選択肢ゲームで知られるChoice of Games社の作品群(インタラクティブフィクション)にも、恋愛重視でAmare的なタイトルが多数存在する。中でも大ヒットを飛ばした『The Wayhaven Chronicles』(Hosted Gamesから配信)は、女性刑事主人公が男女選択可能な吸血鬼4人の中から相棒を選び、事件を追いながらロマンスを育む連作AVGだ。システムこそ文章メインのゲームブック風だが、「乙女ゲームの進化形」*とでも呼ぶべき中毒性を備えており、インディー発ながら100万プレイヤーを超える人気シリーズとなっている。日本ではあまり知られていないが、このように*Amare的文法を備えたインタラクティブ小説は海外で確実に市民権を得ているのだ。プレイヤーの想像力を刺激するテキスト表現と、多彩な恋愛模様。まさに文字どおりの「文字」ベース冒険ゲームが花開いているのは興味深い現象である。紙の本で育った読者がデジタルの中で物語を生成していく様子は、どこか新時代の創作遊びにも見える。

 

さらに視野を広げれば、クィアSF(Queer SF)的な実験精神に満ちた怪作も存在する。たとえば『Heaven Will Be Mine』(私のものになる天国)は、レズビアンのパイロットたちが巨大ロボットで戦うという異色のSFノベルだ。選択肢次第で世界の在り様すら変容する哲学的な物語は極めて前衛的で、まさに「ゲームで読むジュネやル・グイン」とでも評したくなる。また、アジア系米国人の女子高生たちの恋と友情を描いたビジュアルノベル『Butterfly Soup』(バタフライスープ)は、野球を題材にポップな笑いと胸キュンを織り交ぜた秀逸な青春ストーリーであり、海外メディアから「近年で最も心温まるコメディゲームの一つ」と絶賛された逸品だ。こちらは一本道の短編だが、ネットミームをちりばめた軽妙な会話劇にプレイヤーは笑い転げ、気付けば登場人物たちの幸せを誰よりも願っている…という愛おしい作品である。その人気を受けて2022年には待望の続編までリリースされた。マイノリティの視点を前面に押し出した物語が多くの人々の共感を呼ぶ例と言えるだろう。

 

他にも挙げだすとキリがないが、Amareゲームはジャンル的な多様性もフルスペクトラムだ。ファンタジー、SF、ホラー、歴史劇、現代劇、コメディ…どんな設定であれ「人と人との関係性」が物語の軸になっていればOK。これは裏を返せば、「あらゆる物語に恋愛と多様性の彩りを添えよう」という宣言にも聞こえる。実際、西洋のインディーゲームシーンでは、従来は恋愛要素の薄かったジャンルに意欲的にロマンスを取り入れる動きが活発だ。剣と魔法の冒険RPGで男性同士が結婚できたり、SFサバイバルで異星人との恋愛ルートがあったりと、そのカオスっぷり…失礼、多彩さは枚挙にいとまがない。商業作品でもBioWare社のRPGにおけるLGBTQキャラ実装などはよく知られるところだが、インディーならではの尖った作品群はさらにその先を行く。愛の形も物語の形も、一つに決める必要はない。そんなシンプルだが力強いメッセージが、Amareという潮流には込められているように思う。

おわりに:広がる「愛」の居場所

乙女ゲームが日本発の文化として長年発展を遂げてきた一方で、ここ数年は英語圏を中心に恋愛ADVのグローバルな進化が加速している。そこでは性別やセクシュアリティの壁を越え、誰もが自分らしく物語の主人公になれる世界が描かれ始めた。「Amareゲーム」はまさにその象徴と言えるだろう。専門用語だけ聞くと取っつきにくいかもしれないが、実際の作品群はどれも個性的でエンターテインメント性に富み、笑いあり涙ありのピュアな「好き」の集大成だ。学術的な分析抜きに、「推しキャラが尊い!」「この展開はヤバい!」と純粋に盛り上がれる作品ばかりである。筆者自身、日本語圏の乙女ゲームやBLゲームにも長年親しんできたが、Amare作品から受け取る刺激はまた少し違って新鮮だった。一言で表すなら、それは「解放感」かもしれない。既存のジャンルに縛られない自由さ、マイノリティが排除されない優しさ、そして何より創り手とプレイヤーの距離の近さが、作品世界全体に漂う解放感に繋がっているように思う。実際コミュニティでは開発者自らがSNSで積極的にユーザーと交流し、フィードバックを取り入れながら作品を育てていく文化が根付いている。そうしてみんなで場を育てていく居心地の良さこそが、Amareジャンル最大の魅力なのかもしれない。

 

もっとも、日本国内ではまだ「Amare」という言葉自体に馴染みが薄いのも事実だ。公式に日本語ローカライズされた作品もごく一部に限られる。しかしボーダーレスな現代、面白いものはファン有志の手で自然と紹介・翻訳され広まっていく。乙女ゲーマーの中にも既に英語圏のインディー恋愛ADVを遊んでいる方は少なくないだろう。幸い今回取り上げた『Our Life』は完全無料で配信中(有志翻訳パッチもあり)、『When the Night Comes』も基本無料(※後日譚エピソードのみ有料DLC)で楽しめる。まずは食わず嫌いせず、海の向こうで生まれた新たな「愛のカタチ」に触れてみてはいかがだろうか? それは決して特殊な物語ではなく、私たちの誰もが持つ心の一側面を映す鏡かもしれない。多様な愛の迷宮に飛び込み、あなた自身の物語を探す旅に出てみよう。きっとその先には、まだ見ぬ感動と共感が待っているはずだ。 (Amare - VNDev Wiki) (Amare - VNDev Wiki)