土曜日の13時、「パラダイスロストへようこそ」という変な名前のホールを目指して歩く。

ホールに到着して自動ドアの「押してください」をポンと押して店内に入ると

パチンコ550台の大音響が一斉にホールの高い天井へ向かい、そして私に向かって降り注いでいた。

それは中世のヨーロッパのどこかの国で大砲が轟く中何千人という兵士が銃を構え、

撃ち合い、剣をまみえて戦っている、そんな感じ。

 

 

 

私の目の前では若い兵士達が爆砲に倒れ、

血やら肉片やらがスローモーションであたりに飛び散っている。

きっと、彼らの悲鳴など爆音にかき消されてしまっているに違いない、などと。

そんな妄想や大音響に圧倒されながら「ここは戦場」そんな言葉が頭に浮かんだ、

だけどフッと我に返りそんな言葉が少し恥ずかしくなってちょっと苦笑する。

パチンコのシマを抜けてスロットのシマへ。

 

 

 

そしてジャグラーのシマに来ると例の彼が既に3箱上に積んでいる。

ここ2ヶ月半ほとんど毎日のようにこのホールに来ていて、

そしてこのホールに来ている人達を見ているけど、

その中で一番目立って高設定らしき台を打ってるのは彼なんじゃないかと思う。

 

 

 

上手だなぁ、ほんと上手。

どうやったらあんな風になれるんだろうと感心しつつ彼の打っている台のデータをチラ見。

なだらかに右肩へと上がってる。

とか思っていたら彼が私の気配を感じてこちらをチラ見してきた。

 

 

 

いわゆる専業さん達ってなんでこうも敏感なんだろう。

高設定をツモるために自分の打ってるシマの、

自分が打っている台以外の台の挙動も把握してるっていうけど。

だから自分が打ってる台よりも設定のよさげな台が空いたら

シマの端からでも飛んできて台を確保するとかもいうけど、

君達は甲賀忍者かよっ。

 

 

 

その彼のチラ見に反応して、

その隣で打ってる男の子もあたしをチラ見してくる。

そういえば、隣で打っている男の子は例の彼と友達なのか?なんだろう。

時々例のあの彼と一緒の所を見るけれど、

って言っても例の彼は毎日ここにくるわけではないけれどね。

 

 

 

で、私はジャグラーの他の台に視線を移す。

さっと全台を見たけれど、今は打てそうな台がないので

ラグジュアリーな造りのホールの休憩所で時間を潰すことにした。

休憩所の飲み物カウンターで本日のお勧めのハワイのコナコーヒーを注文すると、

いつも笑顔で迎えてくれるコーヒーレディの神埼さんが

「本日のお勧めは本当にお勧めです」

といつもよりもっとニコニコしながらマグカップを手渡ししてくれた。

 

 

 

神崎さんは本当に可愛いわ~。

ふかふかのソファに座ってコナコーヒーをひとくち啜ると、

乾いたハワイの風が吹いたような気がした。