「明けない夜はない」(『マクベス』4幕3場)
「『これが最悪だ』などと言えるうちは、まだ最悪ではない」(『リア王』4幕1場)
1606年に初演を迎えたシェイクスピア作品に書かれた台詞。今読み返すと心の支えになるような言葉だ。
シェイクスピアが乗りに乗っていた1606年7月下旬、演劇シーズンのど真ん中。ロンドンで再び疫病が流行って、公演は全て中止になった。
ライバルの劇作家や劇団も傑作を用意していたし、シェイクスピア自身も『マクベス』と『リア王』の初演を迎える年だった。疫病が広がった時には、演者は行き先を不安がったし、心無い人はステージから感染が広がると言った。
人々はピリピリしていた。患者を出した家には赤字で十字が書かれ、患者と「濃厚接触」があった人は、1メートルの赤い杖を持って外出しなければならなかった。街を歩く人々が「濃厚接触者」と充分な距離を置いて歩けるようにする為だ。症状が出ていない場合でも、隔離された人が外に出たら罰を受けた。鞭打ちの刑だった。
興行が再開される事になった時、激動の数ヶ月を生き残ったシェイクスピアは、新たに公演を打てる場所を得、新たな客層を念頭にプランニング出来る様になった。この新しい環境で、シェイクスピアは、才能のあるコラボレーター達と共に、強烈な異彩を放つ場面を描いて行く事になった。
明けない夜はない。私たちも、今はじっと辛抱して、不安な中でも助け合って生きていって、安心して街を歩ける様になってからも、手を取り合って未来を描いていきたい。