考えてみれば、噛まれてたらこんな呑気に喋ってはいないか。
「なーんだじゃないよ。舐められたんだよ? 犬畜生に!」
「おまえ妙な言葉知ってるよな。あと舐められたの意味が多分違うから」
「許せない……今度は勝つのっ。ゆきじょくせんなの!」
「雪辱戦(せつじょくせん)な。で、具体的にはどうすんだ?」
「今度は私がマウントポジションをとる」
最近の小学生はいろんな言葉を知っている。いや、知ってて当然の言葉かこれ? 理解に苦しむところだ。
「だからトメ兄には背中をあずけた」
「背中も何も相手は一匹だろうに」
「いざ勝負!」
要は僕を助っ人に呼びに来たのか。
やれやれ、と思いつつ腰を上げようとして――ふと思いつくものがあり、台所でそれを持ってから「早く早く」と急かすカカの後を追った。
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そして近くの河原で、宿命の二人――じゃなくて一人と一匹は対峙した。
ひがーしー、いもうとのーやまー。
にーしー、こいぬのーうみー。
「はっけよい、のこった!」
適当に言ってみた僕の声を合図に、カカと子犬は同時に足を踏み出した。
カカは腰を低くして相手に詰め寄る。が、腰の低さで犬に敵うわけがない。滑るように突進してきた子犬は突き出されたカカの手をあっさりとすり抜け、勢いを殺さずに懐に飛び込んで体当たりをかました。
「ぐほぁっ!」
割とマジっぽい呻きをあげてカカが背中から倒れていく。子犬はそれに覆いかぶさり、なんか勝利者っぽくカカを地面に押し倒した。
「いやー、元気な子犬ですねえ」
「そちらこそ元気な妹さんですねー」
じゃれあってる一人と一