るのかもしれません。
私は意を決して房内に踏み込みました。
赤いレンガの床に妻が照らした私の影が映し出されます。
廊下は5方向に延び、それぞれに無数の独居房が備え付けられておりました。5方向の廊下が唯一交わる中心部にはひとりで全ての方向を監視できるように備え付けられたキヨスクのような監視所がありました。ひとまずはそこで腰を落ち着かせます。
ヒコが廊下の奥に向かって唸り声をあげておりました。牙を剥き出しにし、充血した目で奥を睨み腕時計 casio
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つけております。
先ほどとは異なるヒコの様子に妻は怯えたようで、必死に私の腕を掴みました。
耳を澄ますと、銃声の音の中、確かに何かが聞こえてきます。
低い唸り声。
猿の声とは別の慣れ親しんだあの声でございます。
寝ても覚めても耳から離れなかったあの忌まわしい唸り声。
それもひとり、ふたりではありません。数十人はいるのではないでしょうか。いくら対ゾンビ用に改良されたヒコと言えどもその数を撃退するのは無理でしょう。
もちろん私たちには武器と呼べるものなどありません。
と、ヒコが突然走り出し、左から二番目の廊下の奥に消えてしまったのでございます。あっという間の出来事に私たちは名前を呼ぶことすらできませんでした。
そちらの方向にライトを向けて耳を澄ませましたが、特別何も変わった音は聞こえてきません。
私と妻は顔を見合わせました。
外からは相変わらず銃声が続いております。
「ヒコちゃんを探しに行かないと???」
妻が泣き出しそう