③菜々子はずっと泣いていた。家に帰りたいと。いつも、一緒に疎開していた2つ歳上の姉がなだめていた。エルゼが心配だという妹に、あの子はフランス人形やから大丈夫、フランスはアメリカと仲間やで!それに庭に埋まってるなんて気付かへんわと言っていた。のちに分かるのだか、この人形の最初の持ち主はドイツ人の女の子だが、その女の子と友達だったのは菜々子の母親だった。ドイツに帰国することになってお別れにくれたのだという。それをずっと大人になっても大事に持っていて長女である菜々子の姉に譲ったというわけだ。2つ歳上の次女は青い目を気味悪がっていたが、菜々子は好きだった。年長の姉はそれを知っていて菜々子に譲ったのだ。(続く)