駅伝シーズンが到来しますが、駅伝、特に箱根駅伝をより楽しむのに役に立つ本をピックアップしてみました。 手元に届いたばかりで、まだ読んでませんが・・・・第1章 ポスト柏原の時代 箱根駅伝はマラソンを強くするのか?
第2章 「箱根駅伝を特別に捉えない」-東洋大学・酒井俊幸監督
第3章 気になる「MARCH」 ブランド校は優勝できるのか?
第4章 「箱根駅伝はもっと開放した方がいい」-青山学院大学・原晋監督
第5章 強いチームを作る「八つの力」
第6章 「スタートは知名度を上げることから」-上武大学・花田勝彦監督
第7章 ロンドン・オリンピック後の世界と箱根駅伝
城西大の櫛部静二監督の1年生で走った2区でブレーキを起こし、早大は総合11位で予選会に回り、予選会を走った話、初出場時の各大学(上武、城西、平成国際、國學院、帝京、関東学院、中央学院)の話、1秒に泣いた第83回大会予選会の拓殖の話などなど。 時間がないし、とりあえず一冊ということであればこれ↓生島淳(スポーツライター) 箱根駅伝2011年11月30日第一刷発行
目次
第1章 区間配置の知恵比べ
第2章 いまや時代は「花の五区」?
第3章 監督はつらいよ
第4章 駒澤大学大八木弘明監督一問一答
第5章 いま、留学生は必要なのか?
第6章 東洋大学酒井俊幸監督一問一答
第7章 箱根駅伝が大学経営を左右する
第8章 早稲田大学渡辺康幸監督一問一答
第9章 「ふくしま駅伝」がもたらした功績
第10章 世界から箱根駅伝を見る
生島氏が様々な角度から箱根駅伝を徹底的に分析しています。第1章を読んで区間配置を予想するもよし、発表された区間配置を検討するもよし。
第4章の駒澤大・大八木監督のインタビューでは、勝ち始めると選手が来なくなる現象が述べられています。注目大学の過去の成績と現有戦力を比べてみるのもいいでしょう。
なかなか答えの出ない留学生について語られた第5章。留学生を受け入れる大学、受け入れない大学良い悪いではなかなか論じられない難しい問題ですが、速い選手がいることがプラスになる面の方が大きいのではないかと個人的には思います。
第6章では東洋大川嶋前監督から酒井監督への交代劇も語られています。この章と2冊目のお勧め本も合わせて読めば東洋大の強さの秘密の理解がより深まります。2冊目にはあえてこれを挙げます↓川嶋伸次(前東洋大学監督) 監督 挫折と栄光の箱根駅伝2009年8月24日 初版第1刷発行
第1章 ランナー川嶋伸次
第2章 箱根駅伝
第3章 スランプ
第4章 オリンピック
第5章 監督川嶋伸次
第6章 再び箱根駅伝
第7章 チーム改革
第8章 走る意味
第9章 箱根制覇
2002年1月から2008年12月3日まで東洋大学監督を務めた川嶋伸次氏。既に監督を辞めた人の著書がなぜ2番目なのか?
川嶋氏は部員による痴漢行為という不祥事により2008年12月3日に引責辞任、その1ヵ月後、東洋大学は初優勝を果たしました。その後の東洋大学の強さは皆様の知るところです。個人的には今の東洋大学の強さの基礎を築いたのは川嶋氏であり、川嶋氏から今の監督酒井氏へとその精神が引き継がれている、その秘密がこの本で明らかになっていると思っています。
第5章監督川嶋伸次より、(2002年1月で監督として赴任した時には)『東洋大学陸上競技部にとって、私は敵のようなものであったのかもしれない』、『改革を推し進める外部の人間である私は内部の人間にとっては恐ろしい侵略者であり、』、『止めて行った学生たちも四、五人はいたと記憶している。』その一方、川嶋氏の前監督佐藤氏はコーチとして残り、『佐藤さんは私を「監督」と呼ぶ。前監督が、年下の新米監督を「監督」と呼ぶのは、なかなかできることではないと思う。』
第7章チーム改革より、『東洋大の選手のスカウト条件の中に、「考えないやつは採らない」というのがあった。厳しい言葉のようだがこれには実は私自身も感心した。』、『「言葉には言葉で」「体力には体力で」「情熱には情熱で」これは恩師・宗茂監督に教えられたことである。』
第9章箱根制覇より、『「五カ年計画」を立て、戦力を組み立てていく場合は、スカウティングが大きく家今日する。」、「山登りができる先週は、山下りができる選手のケースが多い。正確に言えば、そうでないとならない。・・・・ただ、柏原は下りが苦手だった。』、『一年生の柏原竜二は落ち着いていた。事件の直後は、さすがに落ち込んでいたが、しずんでいてもしかたないと悟ったのだろう。』、『夏合宿の時点から、柏原を五区で使うことを決めていた。』、『私は辞任の翌日、彼らを集めて「決して、動揺するな」と伝えたのは、彼らの底力に期待したからだった。』、『東洋大が頂点に登りつめることができたのは、・・・・・、走った選手も走れなかった選手も含めて、四年生たちが果たした役割は貴重だった。』、『佐藤さんは前監督という立場でありながら、スカウティングを中心にしたコーチとして、この新米監督を熱心に献身的にサポートしてくださった。そして上村和弘コーチと三人で良く酒を飲んでは、チームの将来をとことん議論し、いつしか日本の陸上界の未来についてまで熱く語りあっていた。』一人でできることは限られる。支えて、支えられて強くなるのですね。
飯能高校(高3時インターハイ1500m2位)
日体大(1989年箱根駅伝6区区間賞)
旭化成(シドニーオリンピックマラソン21位、日本人最上位) 三冊目には有力大学の監督について書かれたこれ↓生島淳(スポーツライター) 監督と大学駅伝平成20年12月22日 初版第1刷発行
第1章 大八木弘明監督(駒澤大学)-“苦労人監督”が作り上げた王者・駒澤、強さの秘密
第2章 渡辺康幸監督(早稲田大学)-箱根のスターは早稲田復活の狼煙をあげられるか?
第3章 上田誠仁監督(山梨学院大学)-振興校を強豪へ育て上げた名将の熱意を支えたもの
第4章 別府健至監督(日本体育大学)-最大の使命は「日体大のプライド」を取り戻すこと
第5章 大後栄治監督(神奈川大学)-粘って粘って粘りぬくそれが神奈川大のスタイルです
第6章 青葉昌幸特別顧問(大東文化大学)-箱根駅伝は、日本の宝です
第7章 澤木啓祐部長(順天堂大学)-箱根駅伝は、私の研究領域の集大成
目次
第一章 100年の時を超えて
第二章 オリンピックまでの道程
第三章 灼熱のストックホルム
第四章 力尽きるまで
第五章 その後の金栗四三
第六章 箱根駅伝を創った男
第七章 幻の東京オリンピック
第八章 ペトレ家の人々
第九章 人生という名のマラソン
第十章 勝者の行く末
早稲田の渡辺監督のいくつかの著書を出版日順に↓渡辺康幸(早稲田大学監督) 駅伝流 早稲田はいかに人材を育て最強の組織となったか?2011年11月20日第1刷発行
第1章 勝利までの二四六九日(先を見据えた采配/シード落ちが招く負の連鎖 ほか)
第2章 負の連鎖を断ち切るために(生活環境の大幅改革/勝つための五条件 ほか)
第3章 駅伝「勝利の方程式」-いまどきの若者の鍛え方(モチベーションを上げる/山を制する者は箱根を制す ほか)
第4章 人材をいかに獲得し育てるか(出会いは「運と縁」/強化は二本柱 ほか)
第5章 駅伝指導者の条件(引退という決断/過去の栄光を捨てる ほか)
2004年に監督に就任してから挨拶ができない学生にまずは挨拶を徹底させることから始め、栄養士を雇い、勝つための五条件を大学に要請して2010年から2011年にかけて駅伝三冠へと導いたのはお見事。第3章駅伝「勝利の方程式」の区間別箱根必勝法での区間配置についての考え方は箱根駅伝を観る上で参考になります。
市立船橋高校(国体10000mを連覇、インターハイ1500m、5000m二冠)
早稲田大学(ユニバーシアード10000m金メダル、箱根駅伝1年時2区先頭を守り総合優勝、2年時1区、3年時2区区間新記録樹立、4年時2区8人抜き)
エスビー食品(アトランタ・オリンピック10000m日本代表に選ばれるがケガで棄権) 2006年の第82回箱根駅伝で優勝した亜細亜大学の岡田正裕監督(現在は拓殖大学監督)の優勝時の記録↓岡田正裕(著作時亜細亜大学監督、現在拓殖大学監督) 雑草軍団の箱根駅伝2006年10月19日第1刷発行
目次
第1章 箱根駅伝の伝統と戦略(箱根ほどタフなコースはない/時代を超えたコース ほか)
第2章 じっと我慢の往路5区間(1区=木許史博(大分東明高出)、区間9位・総合9位/2区=板倉克宜(東亜学園高出)、区間13位・総合17位 ほか)
第3章 絵に描いたような逆転の軌跡(6区=北条泰弘(作新学院高出)、区間14位・総合7位/7区=綿引一貴(太田一高出)、区間3位・総合5位 ほか)
第4章 駅伝との出会い(発端は祖母の喜んだ顔/小出義雄監督との出会い ほか)
第5章 営業課長の出向監督(働いて走ること/そもそもは年始挨拶 ほか)
駒大・大八木監督、早大・渡辺監督、東洋大・川嶋監督、そして亜細亜大・岡田監督、全てに共通するのは赴任時の学生の生活態度が荒れていたこと。学生とのぶつかり合い、コミュニケーション、みなさん苦労されて時間を掛けて優勝までたどり着いています。
第2章より、『実に情けない話ですが、脱いだ靴をそろえるということすら教わってない大学生がたくさんいるのが現実なのです。』
同じく、第2章より、『選手にはプライドがあります。個人のプライドはできれば尊重したい、というのが私の考えです。プライドのないランナーには魅力がありません。トラックだろうとマラソンだろうと、私たちが見てかっこいいなと思う選手は、自分でもかっこいいと思っている選手です。』