人間万事塞翁が馬
という言葉を11月のBeトレで聞いて、ちょっと思い出した出来事がある。
旦那さんと付き合う?年前。
(旦那さんとは、たまに連絡する友人関係でした。)
私はある男性と付き合っていた。
その彼と付き合いだして、ほどなくして、彼は東京に転勤になった。(実はその彼とは始まり方や、いろんなことが複雑なのだけれど、それはちょっと割愛させていただく。)
最初はとても上手くいっていたのだけれど
いつしか歯車がくるいだし
彼は連絡をあまりくれなくなっていた。
私はその頃、彼と結婚も考えていたので
とにかく必死だった。
彼に冷たくされればされるほど
彼と話し合わなければ
とにかく会わなければ!
で、半ば彼の予定を無視して、強引に東京にいったりしていた。私の生活は本当に彼中心で動いていた。
* * *
ある寒い冬の日。
私は彼が一人暮らしをしていて、仕事で忙しいから、ちゃんと食べていないのではないか、と心配し、大量のロールキャベツを作った。
それをタッパにつめ、スープでひたひたにして、ビニール袋と紙袋にそれをつめ、新幹線に飛び乗った。
渡したいものがあるから、仕事が終わったら、少しだけ会ってほしい
そんな文面のメールをおくったと思う。
日曜日だったにもかかわらず、彼からは全く連絡がなかった。私は彼の会社近くのルミネ?かアトレ?で、時間を潰しながら夕方まで待った。
するとメールが1通。
今日は、夜遅くまで仕事があるから無理だよ
多分、そんな感じのメール。
愕然とした。たしかに、忙しいのはわかるけれどわざわざここまで、彼女が来ているのに、なんで会ってくれないの?五分でいいから会いたいのに!!(勝手に来たのは私なんだけど)
なんだか、怒りや悲しみや寂しさが、ぐわーっとこみ上げて来て、そして、もう会えないんだという事実によって、どっと疲れが出て来た。
そんな、抜けがらのような状態で
私は、その当時友人だった旦那さんに電話をした。
完全なる愚痴を聞いてほしいだけの電話。
旦那さんは出てくれて、話を聞いてくれて
俺だったら、感動して時間少しでも作るけどなー的な慰めもくれた。
ひとしきり話して落ちつきはしたけれど、私の心はやっぱり満たされず、そして、このロールキャベツを捨てて帰るのも、持ってかえるのも嫌で、
東京に住んでいる従妹にあげた。
新幹線に乗りながら、情けなくて涙が出た。
従妹から
超おいしいロールキャベツありがとう!
というメールが来たとき、どうしようもない気持ちが、寂しさや苦しさやなんだかよくわからないような敗北感みたいなものがこみ上げて来た。
そんなボロボロな心で家へ帰った。
* * *
私の人生のなかで、
もはやネタにして笑っているレベルの情けない恋愛話。
しかし、それから約4?年後。
私は、旦那さんとはお付き合いをはじめて、そして結婚した。
旦那さんともいろいろなタミイングやご縁で一緒になったのだけれど、付き合いたてのころ、旦那さんがふと言った。
僕、さわちゃんが元カレにロールキャベツもっていった話にキュンとして、さわちゃんのこと気になりだしたんだよ
と。
人生は本当にわからない。
私にとっては、不幸でしかない出来事が、誰かの心をキュンとさせていた。
人間万事塞翁が馬。
私のロールキャベツは、
4年間、くつくつくつくつ煮込まれて
最高の味になって、私の前に差し出された。
そんな、私の情けなくも愛しい
美味しい恋の話。