2018年11月4日(土) ゴールデンロック見物

 

♡チャイティーヨー・パヤー(ゴールデンロック)

 

 

  前回から続く

 

 チャイティーヨー・パヤー目指して激走するトラックが途中で停車しました。後続のトラックも同様です。

 

 すると銀細工の施された大きなボール状の入れ物を持った人が台の上から、何事かトラックの乗客に語り掛けます。

 

 そして、語りが終わると何人かの人がお金を銀色の入れ物の中に入れます。

 

 どうやら、パヤー(仏塔)の修理などの費用の寄付を求めていたようです。この後、バスなどで走っていますと、度々、道端でこのような光景を目にするようになります。

 

 これが済むと、今度は係員が来てトラック代の徴収です。料金は2,000チャット(146円)でした。

 

 そして、トラックは再び、ゴー、ガ―と出力全開で急坂を駆け上がって行きます。こんなヘアピンカーブの道でも誰も気分が悪くなった様子の人はいません。ジェットコースターで車酔いする人が居ないように、スリル満点からの緊張感から車酔いの暇もないようです。(そのための爆走か)

 

♡お土産売りの少女が道端に立っていた。つい、その健気さに500チャット(37円)の言い値で首飾り三つを買ってしまった。手にもっているには、竹で作った素朴なおもちゃの鉄砲。トリガーの上に付いているハンドルをクルクル回すと、カタカタと発射音がする仕掛け。

 

 

 そして、トラックはロープウエーの下の駅のある場所に着きました。何でもこのロープウエーはミャンマー初だそうです。(駅の表示はケーブルカーと書かれていた。英語的にはこちらが正しいのか)

 

 

 

 なお、地球の歩き方では、ここでトラックを下車して歩きで頂上を目指すことも勧めています。(約1時間、もちろん頂上から下山も可)

 

 私はそのままトラックに乗り続け、ようやく山頂に到着です。掛かった時間は小一時間といったところでしょうか。ここで二日間有効の入山料6千チャット(438円)を払います。この先にも何軒かホテルがありますし、テントを張っているのも見ましたので、山頂で一夜を過ごす人もずい分、居そうです。

 

♡山頂のトラック発着場。

 

 

 山頂はすでに、たくさんの人でごった返しています。私は、そのまま人の流れに付いて行きます。

 

♡ ♫ 空と大地がふれあう彼方~過去からの旅人を呼んでいる道~

 

 自然に久保田早紀の「異邦人」を口ずさんでいました。

 

 

 

 参道の両側は土産物屋や食べ物屋が隙間なく並んでいます。中には何かの動物の干した首やペット用でしょう、生きた鳥類も売っていて、いやが上にも気分が盛り上がります、と言うか、ミャンマーでも法的に大丈夫なのでしょうか。動物の干し首は蓋付きの入れ物の中に、鳥類、特にフクロウはこっそりと置いてある、と言った感じでした。絶対に日本に持って帰ればアウトでしょう。でも、日本ではフクロウの人気が高い、との事なので日本に持ち帰って、と考える不埒者も居るのでは。(多分)

 

 ちなみに私は鳥類、特にフクロウが大好きなのでしばらく籠の前で足を止めて見ていましたが、店主が良いカモが来たとばかりにこのフクロウを買わないか勧めて来たのでした。

 

 

♡朝の光の眩しさに目をつむっているけど、時々、目を開けるとつぶらな瞳が可愛い。

 

 

 

♡♫ 市場へ行く人の波に身体を預け~ 石だたみの街角を ゆらゆらとさまよう~ 

 

 久保田早紀「異邦人」より

 

 

 しばらく歩くと両側に獅子像の配置された山門がありましたので、ここで履物を脱いで、素足になります。

 

♡♫ 時間旅行が心の傷をなぜかしら埋めてゆく~ 不思議な道~

 

 久保田早紀「異邦人」より

 

♡籠に載せられ、どこかへ連れられて行く不安気な少女、と書くと危ない匂いがしそうだが、たぶん、足を痛めたのだろう。他の家族は見当たらなかったが、籠に載せられた少女を見てビックリする人の顔を見て楽しむために離れて付いて来ている?運んでいるのは、物資を運ぶ強力(ごうりき)のおばちゃん。

 

 

 ♡♫ あなたにとって 私 ただの通りすがり~ ちょっとふりむいてみただけの異邦人~

 

 久保田早紀「異邦人」より

 

 

 そして、さらに先に進み、見晴らしの良い場所に出てみれば、碧空を背景にチャイティーヨー・パヤーが崖端にちょこんといった感じで(今にもゆらりと転げ落ちそう)、陽光を受け燦然と金色に光り輝いていました。

 

 これがもし人だったら、早まるでない、少し話を聞こうか、と声を掛けるでしょうが、岩なのでその必要も無く、チャイティーヨー・パヤーは実に神々しく、まるで宙に浮いている様に見えます。

 

 私はしばし、その姿を眺め続け、そして、さらにチャイティーヨー・パヤーの間近へと近寄ります。

 

 見ると、人がチャイティーヨー・パヤーのすぐ傍に居ます。

 

♡この写真の人達を見て、何か気付いた事がないでしようか?答えは下の文に。

 

 

 もちろん、私も係員のチェックを受け、チャイティーヨー・パヤーに直接、触れられる所へ行きます。(帽子、バック、カメラ持ち込み禁止、さらに女性は女人禁制でチャイティーヨー・パヤーに触れる事は出来ない)

 

♡女性は写真中央上の橋を渡る事は出来ない。陰になっている場所で熱心にお祈りをしていた。改めてこの写真を見ると、チャイティーヨー・パヤーの角度が物凄い事になってる。イタリアのピサの斜塔は傾きを止めるための防止工事をしたと言うぞ。と言うより、傾きがほんのちょっぴり、直って来たとか。ただし、チャイティーヨー・パヤーが年々、傾いていっている、というわけではありません。

 

 

 私の周りの人は、一心不乱に何事かつぶやきながら、金箔を貼ったり、祈りを捧げていましたが、私は日本人なら誰しも考えるであろう(たぶん)、もし、チャイティーヨー・パヤーを押したらどうなるだろう、と考えてしまいます。

 

 グラグラと揺れるだろうか、それともゴロンと崖から落っこってしまうのでしょうか。

 

 もし、落としてしまったらどうなるのでしょう。

 

 聖人として崇め立て祀られ、チャイティーヨー・パヤーの替わりに、この崖の上で全身、金色に塗られてずっと過ごさなければならなくなるのでしょうか。(生き仏~)

 

 それとも、大罪を犯した者として、仏罰として一生、牢屋に入れられるのでしょうか。

 

 もちろん、どちらも嫌ですが、好奇心には勝てず、やってみたくはなりますが、周りの信心深い人の中では、さすがに大手を振ってそれをするのも、さすがにはばかられ、両手による全力押し相撲は遠慮して、片手だけ伸ばしてグッとノド輪攻めで力を込めてみましたが、当然の事、微動だにしませんでした。

 

 チャイティーヨー・パヤーに触れた感触は、思いの外、冷たく、湿り気を帯びていた、という事です。

 

 そして、触れたその手には、これまで貼られていた金箔が剥がれて、付いていました。私は、金箔を貼るどころか、逆に剥がし取って行く事に後ろめたさを感じるのでした(信者に申し訳なし)。どこかに金箔を売っていたのでしょうが、つい買いそびれてしまったのです。

 

 それにしても、私一人の微力では動かす事、如何とも無し難しです。

 

 それでは、我が日本の誇る大相撲ではどうでしょう?是非に、ミャンマー巡業を実現してもらいたいと切に願います。

 

 結びの一番はもちろん、横綱白鳳対ゴールデンロック(プロレスラーみたいで強そう)。時間制限1分間で、ゴールデンロックを崖下に投げ落とせば白鳳の勝ちです。

 

 はっけよ~い、のこったのこった、お~と、白鳳、珍しく頭からぶちかましです!ああ、白鳳、頭から流血です!ゴールデンロックは岩でした!それでも、白鳳、ひるまず、がっぷりよっつに組もうとしますが、ゴールデンロックには手足がありません!どうやら勝手が違って、白鳳、戸惑いを隠せません~。

 

 ここで、取り組みの途中ですがお知らせです。

 

 たった今、元貴乃花親方がふもとのキンブンから乗合トラックに乗って、こちらに向かっている、という情報がありました。

 

 愛弟子を巡る怨讐を乗り越え、愛する国技大相撲のために、居ても立っても居られれず白鳳の助太刀に駆け付けた模様です!(感動した!小泉元首相談)

 

 とか、あるいは日大フェニックスだったらどうでしょう?

 

 キンブンボウル、決勝、対ゴールデンロックス戦、日大フェニックスはショットガンフォーメーションで臨みます。

 

 なお、このゲームの解説は松木安太郎さんです。松木さん、この試合の行方はどうなるのでしょう?

 

 いや~、何と言っても日大フェニックスは走れる大男ばかりですからね、ゴールデンロックスもうかうかして、いられませんよ!それに、

 

 

 

 お~と、いきなり〇〇選手、後ろから掟破りの激しいタックルを試みますが、ゴールデンロックは、後ろが崖だった。〇〇選手、崖下に転落だ!しかし、これにめげず、崖をよじ登って来てほしい。これを見た内田監督、険しい表情をして舌打ちを繰り返しています。

 

 でも、どちらもゴールデンロックが勝ちそうです。何故ならゴールデンロックには人智を越えた強力なバックが居るからです。(理由は後で)

 

 

 それにしても、どうして、こんな大岩がこんな所にあるのでしょう?

 

♡お坊さんもびっくり。自前のスマートフォンで記念撮影に余念がない。ここで、またまた、話が飛びますが、ここチャイティーヨー・パヤーに来る前に、ヤンゴンのこじゃれたカフェで、お坊さんがショートケーキとコーヒーを楽しみながら、アイパッドに見入っていました(耳にはヘッドフォン)。

 

 確か、映画化もされた名作「ビルマの竪琴」の中で、最後の感動のラスト、主人公が僧侶の姿で、戦友達が居る収容所に現われ、戦友達が水島上等兵、一緒に日本に帰ろうと鉄条網越しに呼びかけた後、埴生の宿を歌い出すと、主人公も堪らず、竪琴で伴奏を始める、と言うシーンで、僧侶が歌舞音曲を奏でるのは戒律で禁止されているのでは、というのを読んだ事がありますが、スマートフォン、その他の機器を持つのは戒律に触れないのでしょうか。これでは、歌舞音曲どころかエロ動画も見れるではありませんか。(ああ、また世俗にまみれた事を書いてしまった。ミャンマーには、こんな生臭坊主は居ません)

 

 話を元に戻します。

 

 

 

 言い伝えでは、11世紀、隠者が国王にブッダの頭髪を乗せる大岩を探し出すよう要請し、国王は海底からこの大岩を探し出して来て、不思議な力で山頂まで運び上げたそうです。

 

 そして、この大岩の上の高さ7mほどの小さな仏塔の中に収められているブッダの頭髪が、この何とも不思議なバランスを取っているそうです。

 

 しかし、この21世紀のこの世にこんな事があるのでしょうか?

 

 信心の一片も無い私は、この面妖な現象について考えてみます。

 

 まず、これは自然の風化作用で出来たものでしょうか?時として自然現象は人の想像を越えた不思議な姿を見せる時もあるでしょうが、これは、あまりにも自然に出来たにしては不自然に見えます。

 

 では、人の手によって作られたものでしょうか?確かに、この山頂付近には、大岩が半ば埋まったりして顔を見せています。探せば形の良い岩もありそうです。

 

 それに、この山には国王が隠者に気に入った岩を選んでもらおうと、幾つか候補作を作っていて、それが残っているのです。

 

 

♡隠者の気に召さなかった候補作品の一つ。

 

 

 しかし、重機も無い時代、こんな重くて大きい岩をどうやって、あんな所に持ち上げて、据えたのでしょう。

 

 それに、私は新たな事実を一つ、発見しました。(今さら遅い)

 

 それは、先程まで崖の上に、と書いていましたが、正確には崖ではなく、巨大なそそり立っている岩の上に、さらに大岩のゴールデンロックが載っかっているのです。

 

 これは崖の上に置くより、さらに難事なのではないでしょうか?崖だったら、その後背地から転がすなり、コロを使うなりで何とかなりそうですが(たぶん)、屹立している巨岩の上となりますと、まさか、投げ上げるわけにも行きますまい。

 

 私には、大阪城の石垣の巨石がどうやって運ばれて来たかは、かろうじて理解出来ても、チャイティーヨー・パヤーの大岩をどうやってあんな所に載せる事が出来たのか皆目、見当がつきません。

 

 

 えんやこら、えんやこら、と何とか、あの場所へ載せたとしても、なぜ、あんな座りの悪い置き方にしたのでしょう。

 

 神秘性を醸し出すためでしょうか?でも、よし、もうちょっと前、もう少し前、だから前と言ってるだろうが!このバカ!とやっている内に、グラ、グラグラ、ゴロンとなって、あ~、やっちゃった!となった日には、誰も、もう、やる気が無くなるのではないでしょうか?不思議です。

 

 それに、あんなバランスの悪い場所に載っている大岩の上にどうやって仏塔を作ったのでしょう。私だったら絶対、あの大岩の上では作業したくありません。

 

♡この仏塔の中には仏陀の頭髪が入っていると言われている。

 

 

 ひょっとして、あの場所に据える前に仏塔を作っていたのでしょうか?でも、そうすると、ごろごろと転がせなくなり、余計、作業が難しくなりそうです。

 

 そして、ちょっとした地震でも落ちそうですが、この辺りは地震が起こらないのでしょうか?

 

♡ボンドでも使って接着しているのかとも思うけど、そういう人工的な工作はしていないとか。

 

♡チャイティーヨー・パヤーの下に遊歩道があって、チャイティーヨー・パヤーを真下から見上げる事が出来るけど、ゴロンと落ちて来そうで怖い。

 

 

 

 何んとも可とも不思議なチャイティーヨー・パヤーの姿に、ひょっとして人智を超越した不思議な力がこの世に存在するのだろうか、言い伝えは本当なのだろうか、と、今さらながらに思いつつ、帰りのトラック乗り場に向かっていた私でしたが、ある事を思い付きました。これは天啓でしょうか。

 

 確か島根県の畳ヶ浦という場所に、崖の途中から大きな岩が出ていて、それが落ちそうで落ちないので受験生の合格祈願として人気になっているそうです。

 

 そうです。ゴールデンロックを畳ヶ浦の岩同様、売り出してみてはどうでしょうか。

 

 二番煎じ?否!畳ヶ浦の岩はせいぜい、直径が1メートルあるかどうかですが、このゴールデンロックの巨大さを見て下さい。これは行けそうです。

 

 私は雑踏の中を歩きつつ、事業計画に考えを巡らせます。

 

 「絶対に落ちないツアー催行。貴方も太古より不思議な神の力によって絶妙なバランスを保って永遠に落ちないゴールデンロックの御利益を授かり、志望校合格の栄冠を勝ち取ろう。高僧の合格祈願付きお守り格安にて販売。学生割引有り。全行程、英語もミャンマー語も出来ないツアーコンダクター添乗(私の事)」と言うのでどうでしょう?

 

 私はこんな事を考えながら、頭の中でソロバンを弾きつつ、日本に帰ったのですが、すると、こんなニュースが飛び込んで来ました。

 

 なんと畳ヶ浦の岩が落ちてしまった、との事です。(本当に本当)

 

 私に風が吹いて来ました。(畳ヶ浦の人達には悪いが)

 

 と思ったら、畳ヶ浦の人達、貴方達受験生の代わりに岩が落ちたので、これでもう落ちる事はありません、感謝の念を捧げるために畳ヶ浦に来てね、でさらに売り出しているそうです。(う~む、まさしくただでは転ばぬ人達よ)

 

 とにかく、よそ様はどうあれ、事は急がねばなりません。他の事業者が参入する前に。

 

 でも、受験生の人達には、このクソ忙しい時にミャンマーくんだりまで行けるか!と言われそうですし、まさかゴールデンロックを砕いて入れたお守り袋販売、今なら1,980円(イチキュパッ)で送料無料とは行きますまい。

 

 何よりミャンマーの人達には神聖なチャイティーヨー・パヤーを金儲けの道具にしやがって!と怒られそうです。