2015年6月7日(日)


♡スマトラ島トバ湖。熱帯の暑い所というイメージがあるが、こういう高原の湖畔リゾートも在り、非常に爽やかな気候。ちょうど日本の夏にハイシーズンを迎えるので、避暑も兼ねて訪れるのも良いと思う。
   v(^-^)v

 マレーシアのクアラルンプールからインドネシア、スマトラ島メダンまではちょうど1時間の飛行で到着です。

 メダンは人口211万人を擁する大都市ですが、到着した時間帯のせいでしょうか、空港は閑散としていました。

 私はこれから始まるスマトラ島の旅に思いを馳せ、初めて訪れた土地に来たという高揚感に心弾ませながら入国審査場へと向かいます。
   o(〃^▽^〃)o

 まず、入国審査を受ける前に一か月ビザ取得のための費用、35USドル分、4,200円を支払います。

 続いて入国審査です。

 私は、おもむろに何の疑念も抱かず、パスポートを入国管理官に差し出します。

 それを受け取った太めの管理官は、表情を崩さずページをめくります。

  すると、この管理官、何かに気付いたように、急にパラパラと私のパスポートをめくり出し始めたではないですか。顔も険しくなっています。
   (・・;)
   
 そして、私のパスポートを読み取り機にかざし、モニターに映し出された私の入出国記録を眉間に皺を寄せて食い入るように見つめます。

 それを見ていた私は、あれ、この光景、どこかで見たような、と思い記憶を手繰ります。

 そして、瞬時に蘇ります。あの悪夢が。雨のそぼ降る暗闇の中に野良犬同然に放り出されたあの夜を。(H26秋 タイ入国騒動記 「タイ、まさかの入国拒絶 泣き濡れて寄る辺無き身を嘆く パダン・ブサール」記)
  (  ゚ ▽ ゚ ;)

 入国管理官は、ブースから出て来ると、私に向かって、あごをしゃっくて合図し、どこぞへ連れて行こうとします。この管理官の太鼓腹から、だらしなくシャツの片方の裾がベルトの外へ垂れ下がっていました。

 何が起こったのでしょう?私は、この事態に懸命に頭を回転させて、事態の把握に努めます。

 バリ島で4月10日にインドネシアに入国し、5月10日の30日目に出国。

 2日後の、5月12日にインドネシアに再入国。6月4日の23日目に出国しています。

 そして今日、6月7日のインドネシア、再々入国です。

 ルール上では、私に落ち度は無いはずですが、しかし、短期間に入出国を繰り返した、という点が疑念を持たれたのでしょうか。
  ( ̄_ ̄ i)

 私は別室に連れて行かれて、ここで待つように指示されました。

 私より先に連れて来られた男性が一人、ソファに座っていました。その顔は悲痛に歪んでいましたので、声を掛けるのもはばかれます。(同類、相憐れむ)

 重苦しい雰囲気がこの部屋を支配しています。強いて言えば警察の取り調べ室と言ったところでしょうか?(もちろん、お世話になったことは無いけど)

 タイのダノークでの入国管理オフィスでは、妙に明るく、ゆる~い雰囲気があったのを私は感じたのですが。(タイと言えばタイらしい)

 そこでは、これから所長の判断を仰ぐ3~4人の人達はみんな神妙な面持ちでしたが、私服の職員が私に向かって、大変、ありがとうございました、はタイ語で「コップクン マーク カップ」と言うんだよ、と教えてくれた後、「アジノモト~」と付け足すと、ドッと笑いが起きたものです。(この人達が、その後入国出来たかは知らないが)
  (-^□^-)

 ここ、メダン空港の入国管理オフィスの雰囲気は、何やら悲壮感に満ちておりました。お国柄でしょうか、それとも陸路入国と空路入国の差でしょうか。(陸路入国だと、国境の向こうへ追い返されればバスに乗るだけ、空路入国だと、当然、航空券を買って戻らないといけないので費用がかさむ。行き来の分だけ負担が大きい)

 私はソファに座って、所長との面接を待ちます。この時、頭に浮かんだのは、今頃、ターンテーブルで回っているであろう私の荷物の事でした。

 (私の荷物だけ残っているだろうが、後でちゃんと受け取れるだろうか)と言う事でした。案外、人間、いざと言う時には、こんな事しか考えられないものかも知れません。

 やがて、先に来ていた男性が職員に伴われて、所長室に入って行きました。この部屋と所長室の間はガラス張りですがブラインドが下ろされているので中の様子は窺いしれません。

 じりじりと待つこと暫し。ドアが開いて、先に入った男性が出て来て、ソファに力無く腰を下ろしました。その眼は赤く充血しているようにも見えました。それを見ると結果がどうであったか予想がつきます。
  (・・;)

 すると、今度は私が中に入るよう促されました。

 私は出来るだけ神妙な面持ちで中に入ります。

 見ると大きなデスクの向うに、ここの責任者でしょう、男性が座っていて私に椅子に腰かけるよう勧めます。

 ダノークと同じで思ったより若い男性でした。さらに、キャリア組のエリートにしては(たぶん)、冷たさを感じさせず穏やかそうな顔立ちもダノークの場合と一緒です。

 私はパダン・ブサールでの鬼婆の毛皮をかぶったクソ婆所長級のが出て来たら、と思っていましたので安堵に胸を撫で下ろします。(すっかりトラウマになっている)
  
 さっそく、所長からインドネシアへ来た目的や滞在期間とかを聞かれます。ここまでは良いのですが、さらに、どうして何度もインドネシアに入ったり出たりしたのか聞かれる段になると上手く説明が出来ません。(情けなや)
   (T_T)

 バリ島でのエクステンション(ビザ延長)が出来なくなったので一旦、国外に出た事。まだ、クアラルンプールから日本へ帰る航空券の日程に余裕があったので、ここスマトラ島へやって来た事などです。

 所長に説明するのに、つい日本語を使ってしまい、所長に私は日本語が分からない、と言われてしまいます。

 そして、インドネシアを出国する航空券を見せて下さい、と言われましたが、帰りはここパダンから遠く離れたドゥマイという所からフェリーでマレーシアのマラッカへ渡るつもりですから当然持っていません。

 所長には、しどろもどろの受け答えしか出来ない異邦人が、わざわざドゥマイなどと言う片田舎まで行ってフェリーに乗るなどと言う事が、なかなか理解し難かったのかも知れません。

 そこで私は、PCをバックから出して、エアアジアから届いた予約確認のメールを見せ、懸命の説明です。

 ところが、所長、それを見て、やはり「私は、日本語が分かりません」と言うのです。

 エアアジアからは、日本語の予約確認表の他に、同様の英文のメールも来ていたはずですが、私も舞い上がっていたのでしょうか、この事に気付きませんでした。(あったとしても、すでに削除していたか)

 両者、一歩も譲らず(所長は分からず、私は上手く伝えられず。この表現で良かったか)気まずい時間だけが経って行きます。

 しかし、思うによくぞまあ、この所長、気長に人の話を聞こうとしてくれました。(意思の疎通は出来なかったけど)

 途中では、デスクの上のパソコンから翻訳アプリを開き、「ここに向かって、ゆっくり日本語で話して」と言って、パソコンのマイクを私の口許に向けましたので、私も出来るだけ、はっきりゆっくり、「わ~た~し~は~、こ~れ~か~ら~・・・」などと話したのですが、このアプリ、全く役に立たず時間の無駄になっただけです。だいの大人二人が何をやっているのでしょう。まるでマンガです。
  ┐( ̄ヘ ̄)┌

 これでは、「もう、マレーシアへ戻りなさい」と言われても仕方がなかったところです。

 パダンブサールの鬼婆所長は、人の顔を見るなり、「ゴー ツー マレーシア!」で終わりでしたから。(すっかりトラウマになっている)

 ひょっとしたら所長の口から、もう、「マレーシアへ戻りなさい」が出かかっていたかも知れません。その時点で最後通告です。

 ところが、まさにこの時、突然、室外でドシン、ガチャンという物音に続いて人の叫び声が聞こえて来ました。先ほど、私より先にここに来ていた男性が何かしらのトラブルを起こしたのは容易に想像がつきます。
  ∑ヾ( ̄0 ̄;ノ

 思わず、見交わす所長と私の視線。ここに、初めて所長と私が一体になれた瞬間でした。(正しいのか、この見方)

 室外へ出ようとドアに向かう所長。何故かそれに続く私。

 不法入国者(たぶん)を取り押さえに向かう所長に、同じく、頼まれもしないのに、おっとり刀で助太刀に行く不法入国者。義を見てせざるは勇無きなり。(私の事、正確には不法入国容疑者か。さらに、所長について行ったのは怖いもの見たさのただの好奇心であったが)

 外に出て見ますと、すでに男は一人の職員に見張られてソファに座らされていました。

 その眼にはうっすらと涙が。ただの物見遊山でインドネシアにやって来た私とは、抱える事情が違うでしょう。真に同情に耐えませんが今の私には、人に同情するほどゆとりは有りません。
  
 この男に、一言、二言、言葉を掛けた所長と一緒に再び室内に戻った私は、「Will  I go to  Malaysia?」と所長に聞いてみました。

 この場では、と言うか国外では私は、極めて性能の悪い真空管式日本語から英語へ自動翻訳機能付き石地蔵と化していますのでこれがやっとです。

 すると、所長は分かってくれたらしく、顔を曇らせながら「そうですね~」と言うではないですか。(正確には、後で考えるに「Yes,  You  have to  go to Malaysia.」と言ったような。私はいったい、どれだけ意訳、簡略化して聞き取っているのか)
  o(_ _*)o  

 私は正直言いますと、 この時点までに半ば、この事態を覚悟していましたので、(余計な出費がまた掛かるぞい)といった事を思い浮かべるのでした。

 しかし、何ともあきらめの悪い私は、地球の歩き方(国民的旅行ガイドブック。旅行の通ぶる人には、不正確だとけなされている。曰く地球の迷い方だと。私には欠かせない愛読書)に、ここメダンに日本の領事館が在るという事が載っていたのを思い出しました。

 私は、さっそくバックからこの本を取り出し、領事館の電話番号が載っているページを開いて所長に見せ、「日本の大使館の電話番号です。電話して下さい」と頼みました。

 もちろん、本当は領事館なのですが、領事館という英単語を知らないので、エンバシ―=大使館と言ったのです。似たようなものだろうと。(悪意は無い。領事館とは大使館の出店のようなものなのか)

 また、この極めて遺憾でなおかつ不当な拘束に対して、外交ルートを通じて毅然とした態度で断固、抗議する、などと言う大それたつもりも毛頭有りません。領事館の人に事情を話し、電話で通訳してもらおうと。
(受けてくれるかは分からないが、私も一応、税金を支払っている日本国民なので)


 すると、どうもここから、流れが変わったようなのです。(ダノークでの、タクシーで来ました、と言ったのと同じ展開。ダノークの場合は、タクシーで来るぐらいだから、タイ国内で違法就労はしないだろうと思ったか)

 所長にしてみたら、何と面倒な。インドネシアと日本の外交問題になって来たではないか(大げさではある)。もう、この手合いの男とは関わりたくない、と思ったのかも知れません

 所長は、しばらく考える風情でしたが、入国許可のスタンプを手に取ると力強く私のパスポートに押すのです。

 私は、返されたパスポートを確かめます。ひょっとしたら、入国拒否のスタンプかとも思いましたので。

 しかし、そこには1か月間の入国ビザの印がしっかり記されていました。

 私は、まだ信じられなくて所長に確かめてみました。

 所長は破顔一笑、あなたは、インドネシアに入国出来ます、とおっしゃるではないですか。ようやく愁眉を開く私。

 私は思わず手を差し伸べて、所長とガッチリ握手をし、礼を述べるのでした。
  o(〃^▽^〃)o

 ところで、ここまでこの文を読んでくれた方の中には、お前は騒動ばかり起こして、それを楽しむ愉快犯ではないか、と思われる方がいるかもしれませんが、私は決してそうではありません。連年でこういう事が続きましたが。

 また、私は特に、見るだけで人相・風体・人品骨柄とも特に怪しい奴というわけでもありません。(自称)

 こうして晴れて無罪放免、自由の身となった私は、荷物の受け取りに小走りで向かいます。

 案の定、ターンテーブルは止まっていて、その上に荷物は一つも残っていません。念のためにターンテーブルの周りも探してみましたがありません。
  (><;)

 私の頭の中に、不吉の影がよぎります。

 私はエアアジアの職員を探しましたが見当たりません。すると離れた所にエアアジアのオフィスが在ります。

 私は、もしやと思い、そこに向かいますと、あれ嬉しや、ドアの外に私の荷物が置かれているではないですか。
  o(^-^)o
  
 私はこの荷物が私の物である事を職員に伝えて受け取り、空港の外に出ました。

 雲一つない真っ青な空から白熱の陽光が降り注いでいましたが、日蔭は思いの他、爽やかな涼風が吹き抜けている気怠い午後のメダン国際空港でありました。

2015年6月9日(火) スマトラ島トバ湖

〇今日のFX
①・-21,000円 ドル・円 買い5万 125.32円~124.90円
②・-33,480円 ドル・円 買い5万 124.11円~123.44円

※①は、ロンドン時間には+40Pになっていたのだが。何故か、前日までは繋がっていたWifiが、この時に限って繋がらずにトレードが出来なかった。繋がっていれば、すぐに利確、もしくは±0Pに損切を設定していたのだが。無念。

②は、ロンドン時間に見れていれば利益が出ていたか、すくなくとも±0円にしていたのだが。マイルールを破って移動日にしていたのでチェック出来なかった。痛恨。

 そして、黒田日銀総裁の「これ以上の円安は無い」発言。私にしては深めの損切にしっかり掛かってしまった。

計 -54,480円 通算 43日目 +127,734円

〇今日の会計
・バイクレンタル代・・・・・・・・・・・・・・768円
・ガソリン代・・・・・・・・・・・・・・・・・・・144円
・昼食(トウフステーキ他)・・・・・・・・912円

 

 


  ♡オーストラリアの人をバイクの後ろに乗せて、湖畔をツーリング。
この人がベジタリアンだったので、その手の湖に面したレストランへ。
結構、有名なレストランだったらしい。

・水大・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・67円
・バス代(トバ湖~メダン)・・・・・・・・960円

計 -3,427円 通算 57日目 -221,284円

総計 57日目 -93,550円