昨日、7/6は池袋HUMAXにてBlu-ray発売記念、映画学校の怪談(95)の上映会に行ってきました。
公開から30年経つ事とBlu-ray記念という強すぎる理由が実現したこの上映会。
コロナ禍を経てから、こういったイベントは「えー!超行きたい〜」とツイートで終わらせると絶対後悔する事を学んだ。
てめぇの感想よりまずは行動して結果を残して背中で見せろ!という良いんだが悪いんだかなマインドを持つようになりました。
チケットは即日完売。無事入手して満足。
5年前くらいにも同様のイベントがあり行けなかったのでリベンジ出来たのは嬉しい。
監督、脚本家、先生という豪華なトークショーも堪能してきました。
脚本家さんは当時26歳、のちにサマーウォーズや、大ヒット中の国宝を手掛けるほどの大ベテランに。
それを聞くと「そりゃこの映画ハマるわけだわ」と逆算して納得してしまう。
映画学校の怪談は1995年に公開され、社会現象となった。のちに子供たちによる怪談ブームが起こり、怪談をモチーフとしたドラマや映画、アニメが軒並みヒットする連鎖が起きた。
普通なら「あー、子供の頃流行ってたね」で終わるはずなのだが、30年経っても上映会が即日完売するという事は相当な影響力を持った作品だと言えよう。
思い出補正があったにしても、劣らなぬ作品の面白さがある。映画を沢山見るようになってから本作を見返しても、名作と思えるくらいだから。
映画レビューサイトでは1〜3が星3前後と言うほど高くない。
「怖くない、子供騙し、チープ、展開が読める」などと…100歩譲って言いたい事はわかる…という事としよう。
95年、まだ小1だった私からすると「おばけは嫌いだし、怖い映画も苦手だけどこれなら面白そう!みんな見てるし、俺見たけど怖くなかったけどな!とマウント取れるし」という気持ちにフィットして見事思い出に残る映画となった。
母数的にも子供動員だけで大ヒットが可能だった時代…アニメ映画を見るのがなんか友達に言えなくなってきた小学時代、そして身近であった学校を題材とした怖い話。
全てが刺激的、おばけもかわいらしいからギリ大丈夫だろうというお友達感。先生もいるし、俺らと同い年の子供もいるしという距離感。
これだけの条件が揃った映画が30年経っても出てこないからこそ語り継がれてるのもあるだろう。
これも全て製作陣の思惑通りで、子供達が夏休みの思い出として楽しめるおばけは怖くないよ、友達だよ、でもお化け屋敷みたいな映画だよ。を叶えた作品なのである。
「怖くない、展開が読める」という感想は「どれどれ、どんだけおもしろいんだい?なーんだこんなものか、期待はずれだわ」という数十年経って鑑賞してる大人のイキり。
この頃に見たからこそ生まれた感情があるんだよ。と感想を述べる私もまた老害のイキりである。
まぁ感想はそれぞれとして、
この歳になって見ても見応えがある脚本の妙と、この歳になってわかるセリフの意味が深みを増してるので味わいある作品である事は間違いない。
また、レビューにある「チープ」というものだが、これもまた製作陣の狙い通りで、お化け屋敷のような手作り感、またCGに頼りすぎない特撮のマンパワーを徹底したかったというこだわりもすごい。
メイキング映像を見ると時代の賜物と言わんばかりの労力が伺える。
ここまでの手作り感溢れるホラー映画はこれが最後なのではと思えてしまう。
手作りと言ってるが半端ない努力と技術力が結集したものとなっており、モーションキャプチャーや造形にこだわった特殊メイクも見所の1つ。
こういった技術を持った人がいなくなってる事を考えたらもはや貴重な資料映像ですらある。
また、日本にはほぼ存在してない木造校舎のアーカイブとしても堪能出来る一本となる。
2以降はCGで出来る挑戦にも力を入れてるので、1は1の良さがある。
キャラクターも掘り下げすぎず、個性的すぎないバランスが良い。(2〜3は個性やバックグラウンドが濃い)
割り切って生きてる双子、孤立慣れしてるが強がってるボーイッシュな姉と行方不明になる妹、それをイジメる母子家庭のガキ大将、周りに付いて行って楽しむ男女枠、これらの組み合わせが少ない説明でどう成長するのか非常に面白く仕上がっている。
お見合いと退職がほぼ決まってる適当な先生という立ち位置も良ければ、その先生が怖いものと、それと再び対峙する事になる展開も熱い。
保護者も先生の同級生で、先生が風邪を引いた際は「パチンコで勝った缶詰だからもらっとけ」という時代を感じさせるキザなセリフが用意されているのもたまらない。
極力話の軸となるネタバレを避けたつもりだが、それを踏まえて見ると更に味わいが増すだろう。
小1の頃には夏休み明けでこの映画の話題で大盛り上がり、廊下では極力早歩きで我慢するなどしたものだ。
遠足のバスでもバスガイドさんが気を利かせて流してくれた。
テレビのロードショーでもよくやっていた。
携帯やサブスクがない時代だからこそ、多くの人が共通の作品として根付いた一本なんだと痛感しております。そういった当時だからこそわかるビビッドな体験を出来て良かった!と思い30年が経ちました。
学校の怪談2はこんなおばけが出るんだって!学校の怪談3は超怖いらしいよ!と盛り上がる小学生達は変化していく。
95〜97年をかけて怪談ブームは落ち着いてしまう。
子供の流行サイクルは早いのだから仕方ない
スライドするようにポケモンやエヴァの登場にアナログから未来的なものに興味が移行していく。
制作側も理解したように98の年には毎年恒例だった学校の怪談が上映しなくなる。
しかし思い出にしがみついた私に嬉しいニュースが。
99年に学校の怪談4上映のお知らせが。
スポーツ紙や朝のテレビのニュースでも2年の時を経て復活!と報道されてました。
しかし結果として私は見る事はなかった。
クラスでも話題に出る事はなく、見る人もいなく飽きられてしまったんだと痛感したものだ。
結果は大ヒットした2の半分程の興行収入。以降正式なシリーズが制作される事はなかった。
当時の自分が見なかった理由は明白。
これまで出てきたカワイイ妖怪は一切出ない、お化け屋敷のような冒険物でもない、昭和初期の悲しい事件が呪いを生む。そういった情報が事前に打ち出されていたからだ。
それ…子供が楽しみにしてる学校の怪談の要素全部取っ払ってるんじゃん…と幼きながらにガッカリした記憶がある。もちろん普通に怖いだけの映画なら怖くて見れないよTTというのもある。
まぁ気持ちの整理が付いたら大人になってみるんだろうなと思っていた。
そして今年!この上映を記念して(私の中で)
ついに学校の怪談4を鑑賞しました
めっちゃ良かった(めっちゃ良かった)
まず、学校の怪談1〜3に低レビューを付けてた人が4には高評価だった。これが非常に腑に落ちた。
子供時代にレビューするなら4が低評価で1〜3が高評価だろうと。
つまりシリーズで見ると比較的大人向けな仕上がりになっている。
なんでこんなことしたの!と当時の私は思ったけど、時代背景で紐解くと98年で「もうこのテイストで学校の怪談は食傷気味だろう保留だ!」となり、99年で「リングをきっかけにJホラー新たな可能性と、成長した子供でも面白く思えるテイストなのでは!?」と判断したように見える。
興行収入としては振るわなかったものの、その目論見とマイナーチェンジという挑戦心は今となってはとても輝かしいものに見える。
近年初めて学校の怪談シリーズを鑑賞したホラーファンが4だけ推してる理由も頷けた。
だって普通にJホラーの定番を子供に置き換えてるんだもん。むしろ怖さ倍増だわ。
当時見ないという判断は正解だった気がするし、当時見た子はトラウマを抱えたのでは?と心配になる。
そしてこのポスターである。
可愛いお化けや頼りになる先生も出ない。
悪霊が子供を葬る映画です。
と捉えることも出来るが、
「小さい頃に不慮の事故で亡くなった子供達。その事件を記憶してる者もいよいよいなくなりそうなので、探してる気持ちが暴走した」と考えると非常に切なく、ノスタルジーほっこりで着地してるいい話なのである。
灯籠流しの意味であるとか、知っている人のおばけなら嬉しいという思いであるとか、リメンバーミーに通ずるメッセージ性がある。
たぶんこれを7/5に鑑賞したから地球は滅亡しなかったと信じてます(この記事を〆ようとしている)
オープニングは白黒で始まり、結構辛い展開となる。津波描写があるので近年テレビで見れる機会も激減した。
しかし後半はカラーとなり、ノスタルジーな思い出は淡い青春の1ページの続きとして動き始める。
こんなんおじさん泣いちゃうよ…
なにより驚いたのは、名作とされているクレヨンしんちゃんモーレツオトナ帝国の逆襲より1年早く「吉田拓郎の音楽を1曲流して本編が終わる」という号泣必死なシーンを描いているのだ。
原恵一監督は本作に影響を受けたのかな…
たまたまですとは思えない。
何はともあれ、どちらも素晴らしい。
影響を受けてその手法が継承されるのはいいですね。
と言う事で、何も考えずに一発で長々と書いてみました。
仕事も疲れ果ててるので息抜きに趣味語りで思考を言語化してみた。
学校の怪談シリーズ絶対見てね!と言う訳ではないが、国宝の脚本家さんが携わってるんですぜ、フィルモグラフィーとして見て勉強にならないわけないよ!とお伝えしたかった次第。
…国宝見てないです、すみません。人気映画はみんなに任せた、俺は責任持って星つなぎのエリオ見るからさ…