来週、あの人と会ってしまう。
もちろん、あの人に会いに行く訳ではなくて、
職場の研修の参加者の中にたまたま二人とも居るだけ。
あの人は私に気付かないかも知れない。
私もあの人のことは気にしないようにする。
ただ、たまたま同じ空間に居合わせるだけで、
何事もなく過ぎるだろう。
あの人からは絶対接触してこないし、
私からももちろん近づかない。
聞きたいこと、話したいことはたくさんある。
でも、それはしてはならないことだし、
今更何かを聞いて、話して、何になると言うんだろう。
一緒に居た頃に戻れる訳じゃない。
話すことで、何か生まれる訳でもない。
あの人が私のことを弄んでいたにしても、好きだと思っていたにしても、もう、終わったことなのだ。
それでももし、何かひとつだけあの人に伝えることができるなら、何を選べばいいだろう。
一番は、『ごめんなさい』
あなたの大切な人を傷つけて。
あなたの家庭の平穏を崩して。
あなたにたくさん嘘を吐かせて。
あなたの人生に私が関わって。
ごめんなさい。
一番は、と書いてみたけれど、他に伝えることなんかない。
後にも先にも、もう交わることはないのだから。
たった5文字の言葉さえ、伝えることも出来ないけれど。
心の中でそんなことを考えながら、とりあえず、普通に振る舞えたらいい。
さすがにもう、泣いたりはしない、はずだ。