音楽、ピアノを学んでいく時に、楽譜の読み方、表現の仕方、また音の質や響かせ方であったりと、多方面からたくさんのことを学んでいく必要があると思うのですが、その学んでいく中で、自分の問題の改善を試みたり、自分の中にない新しいことを取り入れたりということをやっていくと思います。

今まで、レッスンをしてきて、生徒さんの学び方を見ていると、大まかに2つのタイプに分かれると感じます。その2つというのが、感覚でこなすタイプと思慮深いタイプです。みなさんは自分がどちらだと思いますか?
今回この2つのタイプについて書いていこうと思うのですが、タイプによって少し学び方を工夫できると、レッスンで習ったことが身につきやすいかなと思ったので、綴ってみます。

まず、感覚派のタイプですが、これはある程度感覚が優れていることが前提になってきます。感覚が優れているというのは、例えば、弾く姿を見てすぐに真似ができたりとか、先生の音を聴いただけで、自分の音をその音に近づけられたりといったことになります。
このタイプの大きな強みは、良い感覚、こういう感じか!というのを掴むことができると、たくさんのことが同時に解決されることにあります。例えば、良い響きを感覚的に耳が掴むことができると、身体の脱力等もうまくいっていたり、、また弾いていて心地良い感覚を身体の感覚で見つけられると、響きの質や、音楽的な流れや表情が良くなったりと、連鎖的にいろいろなところがよくなっていきます。
ですので、このようなタイプの方は、レッスンでたくさんの刺激を受けて、良い感覚を見つけること、そして、こんな感じか!という良い感覚をどんどん研ぎ澄ませていくことが大切になると思います。
しかし、気をつけたいことは、この良い感覚が崩れてしまう、何か気持ち悪いなといったような感覚が出てきてしまうと、途端にこれまで良く出来ていたことが、うまくいかなくなってしまうので、この点については注意が必要かなと思います。
感覚というのはその時の気分も大きく影響してきます。気持ちがのらない時に練習しようとすると、身が入らなくて集中できないなあとか、弾いていても何か違うんだよなあとなってしまいやすいので、気分転換だったり、自分の気持ちを高めるスイッチのようなものを持っていると良いのかなと思います。

次に思慮深いタイプですが、このタイプは、感覚派のタイプのように、真似をしてすぐできるようになるということはあまりなく、着々と一歩一歩進んでいくように、少しずつ積み重なっていくことが、大きな強みだと思います。
このタイプは、常に自分の出している音や身体の使い方、楽譜からしっかり表現できているかと、とにかくいつでも自分のやっていることに疑問を投げかけて、自分の課題を見つめて、改善していこうとする姿勢が感じられます。
このタイプが学んでいく上で重要なことは、とにかく失敗を恐れないことだと思います。別の言い方をすると、失敗をたくさんした方がいいということになります。例えば、レッスンに行くといろいろな指摘を受けると思いますが、それを自分なりに消化し、練習をして、またレッスンに持っていく。しかし、レッスンではうまくいかず、またダメ出しされてしまう。このような経験をされる方は多いのではないでしょうか。僕も、レッスンでなかなかうまくいかず、失敗を積み重ねてしまうタイプでした。失敗の後、また自分なりに、レッスンで受けたダメ出しを消化し、練習してまたレッスンにもっていく、そしてうまくいかず、、また、、、といった具合に、言い換えると、自分なりに消化して練習で試すという実験とレッスンでうまくいかないという失敗を何回も繰り返すことになります。そうすると、たまに10回に1回とか、今回練習で試した実験は良かったという成功が出てくるんですね。このたまにある成功が、核心をついた事柄だったり、本当に大事なことだったりするのです。ですから、失敗を積めば積むほど、本当に大事なことがわかってきて、またこれは違うなという失敗例も蓄積するので、これはやってはいけないという余計なことを削いでいくこともできます。
失敗してしまうことを悪いことと捉えずにどんどん実験していく、トライしていく姿勢でレッスンにのぞむことで、着々と上達していくことができると思います。
ただ注意したい点は、誰でも失敗したり、レッスンでたくさんダメ出しを受けてしまうと、落ち込んだり、自分はできないという気持ちが膨らんで、辛くなってきてしまうことはあります。また、上達を実感するのに時間がかかってしまうことでもあります。しかし、根気強く続けていけば、必ずものになってくることですので、自分を鼓舞し、めげずに努力していけたら良いのかなと思います。

今回、学んでいく時の2つのタイプについて書いてみました。みなさんのこれからの学び方に、なにか役立てて頂けたらなと思います。

動画もあげております。