☆気象さんBL小説です、苦手な方はご遠慮ください。





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S×O



「F」13










智side










喉に込み上げてくる酸っぱいもので

目を覚ました。









慌てて口を押さえて跳び起きた。








トイレ...トイレ....









"ドスッ"


!?




どこだ?ここ?








一歩踏み出すといつものソファより高くて


こけてしまった。








えっと....ベット?





トイレ...やばい...








部屋のドアを開け向かいのドアを開けた。








洗面所








もう一つ隣のドアを開けるとトイレがあった。








「オェ....はぁっ」


胃の底の底から次から次へと上がってくる。









こんなんで死ぬはずがないのに

「死...死ぬぅ..オェっ」

死ぬんじゃないかと思ってしまう。












トイレのマットのふさっとした長毛が

おいらの全身の鳥肌をやさしくなだめる。














「ふぅう」

全てを出し切ると

立ち上がる体力もなく

その場に座り込んで壁にもたれたまま

ぼーっとしていた。















寒..









いつのまにか汗をかいていた。












冬の朝の澄んだ寒さが

一段と俺の肌にまとわりつく。













つーか...






なんで俺パンツ一枚なんだっけ?







冬なのに...















昨日...えっと...






「ったい....」



何か考えようとすると頭がガンガンする












ちょっと...休憩だ...









酒こんなに弱かったっけ?









這うようにしてトイレを出た。























もとの部屋に戻ると




おれが寝ていた隣にもう一人いた








眉をひそめて




まだぜんぜん働いてくれない頭を再起動させる。















彼はこちらを背にして寝ていた。












えっと....

おれが昨日一緒にいたのは...









翔くん...











///////









翔くん?










昨日のことを思い出し終わる前に

その顔が見たかったんだろう。














おいらの足は動いてた。


















ベットの向こう側に回り込むと

うつ伏せで枕を抱き抱えて







スヤスヤ眠る翔くんがいた













ふふふ






よく眠って..,










////////










え....





思わず目をそらした














翔くん...



裸なんだけど...















うそ...うそうそうそうそ!













一瞬のうちに


幾つもの考えが


光速で頭の中をめぐった。














見ちゃいけないものを見てしまったようで






自分でも信じられないほどの速さで部屋を出た。







"パタン"











っはぁはぁ...








ブンブンブンブン






頭を振って考えた













夢だったら...








何回も深い瞬きを繰り返した。















急いでせわしい心臓をなだめるけど



口からとびだしそうなくらい忙しく動いていて




何をしたらいいかわからないけど、




とりあえず


とりあえず




翔くんにきこえないように口を押さえた。














夢じゃない...




夢じゃない...





夢じゃない....












ど、どうしよう...


リビングのソファに座った。














翔くんが起きるまでに昨日のことを思い出さないと...













膝をかかえてまあるくなった。









おととい切ったばかりの足の爪を

一本一本擦りながら

ぼーっとしてた。
















初夜の記憶がないという虚無感

















頬っぺたがだんだん紅くなっていく。
















翔くんに抱かれたいなんて





これまで何度も思ったけれど






違う...こんな風にじゃなくって..






いやわからない違うかもしれない...






何もなかった?






抱いてくれたとしたら何?





付き合ったの?付き合ってんの?俺たち...







そういうのは付き合ってからがよかった..




なんていう歳じゃないのかなぁ..










わからないって怖い...









「ううっ...」



ポタッ







視界がぼやけて

瞬きをすると

足の爪が濡れてた。











何?

もうやだ...

よくわからない..

おいらは何をしたいの?
















"落ちてくる涙を、足の親指の爪で受ける"












そんな自分でもわけのわからないゲームを

何も考えずただひたすらやっていた。












きっと今は何も考えたくないんだ。