☆気象さんBL小説です、ご注意ください♪


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S×O



「 F 」10











翔side










いつのまにか曲が終わっていた。













唇を離すと


腕の中で静かに目を閉じた智くんがいた。







「えっ...ちょっと...さ、さとしくん!」







頬を叩くけど

全然応答がなくて









焦って体を揺らすと









「ん〜」







甘えたような声を出して

一段と丸くって

俺の膝の中に収まった。










「.え.....さとし...くん?」










'スー スー"










寝息が聞こえてきた。













ふわふわの自分の尻尾を抱いて眠るリスみたいに

膝を抱えてまぁるくなってて













か....可愛い.../////












俺は起こさないように

机の上のリモコンをとって

照明を絞った。





「ふふ...寝てる...////」







呼吸に合わせて優しく背中を撫ぜて

綺麗な寝顔をみつめていた....

















ポテッとした唇はまだ少し濡れてて

それを見るとたまらなくなった。











「ふぅ...帰ろ....」





天を仰いでソファの背にもたれ息を吐いた











ギリギリの暗さに絞った照明が








俺らの関係を表してるみたいで







消えてしまいそうで







怖くなった











「智くん、帰ろっか」


ポツリと呟いて智くんをゆすると


「ん〜」


目をぎゅっと瞑ったまま

いやいやと頭を左右に振って

嫌がったかと思ったら

ぽてんと寝返りをうって

また動かなくなった。














「智くん、お家まで送ってくよ」






気持ちよく寝てる智くんを見てると

起こすの可哀想なんだけど....






帰らないと....




でも...

送っていくよって言ったものの....







家...わかんないんだよね...






俺んち....?

か。





フロントにつながる電話を手に取った。





「車一台...あ...やっぱりいいです」



ソファに丸くなった智に目をやって

言いかけたのをやめた。









「智くん、ほら、帰るよ」

背中を向けてしゃがむと










智くんは目をこすりながら

背中におぶさった










「軽っ....」

部屋を出ると


ボーイが立ってて、深々とお辞儀をした。








「櫻井様、お車ご用意しております」





店の前には立派な外車が停まっていた。










「ありがと。でもこの人さ....
一回下ろすと起きちゃうから....
このまま歩いて帰るよ。
家、すぐそこだし」






ボーイは背中ですやすやと眠る智くんを見て優しく微笑んだ。




「左様ですか...それならこちらを...外は冷えますので」





大きなブランケットで智くんを包んでくれた。






「ありがとう...また来るよ」






一歩外に出ると

冷たい空気がツーンと俺の鼻の奥まで届く






「寒っ」






背中に感じる体温と

ボーイの優しさに

心が少し暖かくなった。















どの家も明かりが消えていて

シーンとしてる...









今日は長い1日だな...








仕事終わって

智くんとご飯行って

カラオケ行って









きっと半日前の俺なら



こんな状況、考えても無かっただろう
















夢...だったらどうしよう


夢だったら....

















"ワンワン!!ワン!!"

一軒の家の庭の茂みから急に吠えられた。




「うわっ!!」





ぼーっと歩いてたから
いきなりのことに驚いて
一瞬よろけてしまった











「ワンワンワンワン!」











夢中で走った

犬は追いかけてくる筈ないけど

そんなに吠えられたら

智くんが起きちゃうし










もし夢だったら

覚めてしまうかもしれない
















犬の声がだんだん小さくなって

やっと聞こえなくなった














「よいしょっと」

軽く跳ねて

ずり落ちそうな智くんを抱き直すと








「ん〜」

智くんの声がした