☆気象さんBL小説です、ご注意下さい♪



「 F 」



S×O








翔side


一品の小料理屋さんに行った。






予約していなかったから

カウンターしか空いていませんって言われて




仕方なくカウンターを選んだって感じだったけれど






俺的には

カウンターの方でよかった










視線をまともに合わせなくても済むから。









きっとまじまじと見とれちゃって

会話に集中できないから。







それと

沈黙になったらどうしようって思うと




個室なんて


俺にはレベルが高すぎた








前の醤油差しでも眺めながら


相槌を打つくらいがちょうど良かった。









2人の時間を楽しみたかったから

出来るだけ仕事の話は避けた。







智くんの釣りの話や今はまってる料理の話、

魚のさばき方

料理に合うお酒

飼うとしたらどんな猫がいいか

靴紐のこだわりの結び方







ほんとにたわいもない話ばかり。










そんな空間が心地よかった












前の醤油差しの曲がった作りが

とても綺麗で








思わず見とれてしまった。










職人が作っているのか




隣に置いてあるものとは




一見同じだけど




細部に違いがあるようだ。








まるで









鳩の胸みたい










ふと、

曲線を指でなぞって確かめたくなった...








指を伸ばした時、

横から声がした









「ねぇ、翔くん」







急に声をかけられて驚いた。










トイレに行ってたとばかり思っていたから...










「え....あ...」






「ねぇ、翔くんってさ」





「ん?」





「好きな人いるの?」





「え....」







どうしよう







思ってもいなかったから。




そんなこと

きかれるなんて。







どうしよう







えっと



どうし...








ふっと智くんの目線が机に落ちたかと思ったら

綺麗な指で目の前のおちょこをとって

上を向いて一気に流し込んだ








ゴク...ゴク....







俺は何にも言えず


ただ上下に動く


目の前の綺麗な形の喉仏を見つめていた













そういえばさっきも綺麗な...


なんだっけ?



ああ。鳩だ。





醤油だ。












トン



ふぅ〜









おちょこを置いてこちらを見た智くんの目は


座ってた








「翔くん...」






「ん」






次きかれたら言おうと思って覚悟を決めた







好きです。

あなたです。


って。















「俺が奢るわ」




ポツリとそれだけ言うと



智くんは立ち上がった