☆気象さんのBL小説です、ご注意ください。






「あの人のかおり」



6



大宮













智side




スタッフに...



急にコーナーの司会をやるように言われた










え?なんで?




にのじゃん、このコーナーの担当。



もちまわり制になったわけ?




でもそんな話聞いてないしな









言われるがままもらって

台本を見てるけど









思い返せば










今までのコーナーの司会も

ほぼほぼ途中からメンバーの誰かに変わったり






台本取り上げられたりと

しっかり出来たと思えるような司会なんてなかった










昔なら はい!やります!

って言えたのかもしれない












断ろうかな...























思った言葉はふと口から出てた














前に座ってるニノがだるそうに



やめればぁ




と言った










....












もう

いっぱいいっぱいだ










下を向いて唇をかんだ










にのもなんか冷たいし






苦手なことにも自分から向き合わないといけないって


わかってる






わかってるよ....















じわっと目に涙が浮かんだ

















「ねぇ」










後ろから声がした















顔を上げると



にのが立っていた

















「泣き虫だ」










ニッと意地悪そうに笑った







むぅ





なんだよ....


なんで笑ってるんだよ...


もういいんだよ...泣き虫だよ...








きっと俺今、ふてくされた顔してる





母ちゃんによく注意されるやつ。






ごめん....





メンバーの前では見せたくないけど






もう笑顔作れないや....







疲れた....




















「いへっ(いてっ)」








急に


手が伸びてきたかと思うと







俺のほっぺたを両手で

左右に引っ張って上にあげた












和「ほら、笑った!ふふっ!」









もう....なんだよ





ふふふ






でも


ふふふふふふふ...


気づいたら笑ってた。













負けたよ、負けましたよ。



すげぇな、お前...




俺の目の前でキャッキャっと笑うにのが



もうどうしようもなく愛おしい













「泣き虫にはこれだ!」




「ちゃ、あっ、ちょ!待っ!」





脇腹を掴むと

小さなむにゅむにゅした手を素早く動かす







「あーー!も!やめっ!わかった!わかったって!」




「どうすんの?するの?やめるの?」



「やめる!」


「違う違う!司会だよ、するの?やめるの?」



「んーーーっ!!!







す、するぅー!」










指が止まったかと思うと













"ぼふっ"



背中がほんわり暖かくなった














「あなたならできる」









耳元で囁かれた言葉は










魔法のようだった



















そしていつの間にか




司会は俺がする方向で進んでいた