※気象さんBLです。ご注意ください。
RoomkeyⅠの続きです
櫻井side
"パタン"
ドアが閉まったその瞬間に
俺は彼に唇を重ねた
彼は全く動かず
ふと
目を開くと
目を見開いた彼がいた
"ズルズル....ドスン"
彼は俺の腕から抜けると
床にへたり込んだ
口を押さえて真っ赤になって
下を向いている
......え
...まさか
「...初めてだった?」
声をかけても
床の1点を見つめたまま
ぴくりとも動かなくて
嫌な予感がした
まさか
ワインを運んできただけなのか...
ただ
純粋に....。
顔は見えないけど
顔を押さえた手は
かすかに震えている
どうしよう
彼の顔を見たいけれど
怖くて
しゃがむことが出来ない
何も出来ずに立ち尽くして
彼の震える背中をみていた
"チン"
かすかに聞こえるのは
ドアの向こうの
エレベーターの到着の音だけで...
沈黙が....
とても長く感じた....
「あ...あのさ」
思い切って声を出した
「俺.....
つまみ...買ってくるわ」
ごめん...
なんて
言えなかった
謝ってしまったら
この気持ちが嘘のような気がして
そして
声をかけた時に気付いてしまったから
手の間から流れる涙....
俺は.....
彼の涙をみて
取り返しのつかないことを
してしまったと
やっと気づいた
へたり込んだ彼を残して
俺は部屋を出た
部屋を出て
ドアを閉めると
ドアにもたれかかって
上を向いて大きく息を吐いた
ふぅ~
"ズル"
そのまま床に座り込んだ
床が冷たかった...
第三者があざ笑うかのように
冷たさは心までしみた
「うっ...」
必死に嗚咽を飲み込んだ
ドアの向こうには彼がいる
逃げた
怖かった
嫌われたと思った
俺だって
男を好きになったことなんて
1度もなかった
最初は
好きだなんて思ってなかった
彼が来ないといないとわかった時
無性にこみ上げてくる寂しさで
やっとわかったから
これから
どうすればいいんだろう
つづく