DIARY





無常も黄色い気分も黒い犬も

全部なくなったと思っていたはず




空に溶ける枝の先

キレイ




お昼に揺れる布達

美しすぎてもったいない



あまり美しい時間を見ていると哀しくなってしまうから

嗅ぎたくない匂いを嗅いで

面白くも無い音を流して





DIARY


























そう




私はいつでもこの思想に戻れるんだった



この生ぬるい中を泳いでいられるんだった






ピアノを間違えても

どうか曇りにならないで




黒い犬がやってきてしまう



DIARY



デカ・ダン子ちゃんはいつも思っていました

生きていても意味はない

人は皆不公平で私は価値のない人間です

スーパーに陳列するプラスチックの列を見てはため息をつき

暗いところでひっそりとしている無機質なゴミ箱に共感を感じ

いつも部屋の暗い片隅を見つけてはそこで安堵していた

無機質なものたちと同化してしまいたい

私は家具やスーパーの洗剤やこの冷たい机達の仲間なのです


デカ・ダン子ちゃんは願っても叶わないことがあるということを知ってしまい

無気力にさい悩まされ

今日眠ったらこのまま目が覚めなければどれだけ良いかと願っていました


ずいぶん時が経ちデカ・ダン子ちゃんはそんなことよりもっと悲しいことが起こるということを知ってしまいます

それは大切な人が死んでしまったからです

それはデカ・ダン子ちゃんが今まで経験したどんな悲しいことよりも悲しく

乗り越えられないものでした


デカ・ダン子ちゃんはコロちゃんという名前の人と一緒に暮らし始めました

コロちゃんはデカ・ダン子ちゃんとは違って

考え込まない人でした

コロちゃんのお世話で忙しくもなり

以前のように無機質な物たちと同化したいという考えも起こらなくなってきました


デカ・ダン子ちゃんがused to beデカ・ダン子ちゃんになれたのも

きっと家に転がっているコロちゃんのおかげなのです