洗濯物は苦手。

洗濯、やなくて、洗濯物。

洗濯機から取り出して干すところまでは

ええんやけど。

嫌なんはあれ、畳んで各々、引き出しに

戻していくことな。


(各々て。ま、しまうんは確かにめんどいな)


くたびれて帰ってきてんのに

洗濯機回る時間待って、干して、

何時間か後に「畳めーー畳んでくれぇ」

言うて圧かけてくるん考えたら

余計としんどなるっていうか。


(っはは、被害妄想やん)



奥行き数センチもない大画面で

「推し」的な位置に昇格?した男が

ギターを抱えて歌っているのに出くわして

思わず手が止まる。


不思議。伸ばさなくても

手の届く距離にいたはずが。

たかが洗濯物ひとつにあれだけ

愚痴る人間やったのに。


たくさんの視線に晒されて垢抜けて、

住む世界の違うゲーノージンに

なってしまってる。


こうなるともう、家事の合間につけた

テレビでしか目にすることが無い

今の方こそ、夢オチの先の人生みたい。



小さなパンツを丸く畳む。

お漏らしをすることもほとんどなくなって

誇らしげに履かれている「おねえさんパンツ」

ウサギさんやらリボンやら、ステレオタイプの

女の子服の数々の小ささ。

どれをとっても愛おしいと思う。


これを身につける生き物の存在なしに

最早生きていかれないと思う。


何より、あの頃、(ほな、うちが畳んで

あげよか?)なんて言葉、

決して口にしなかった。

特別になりたいと思ってすらなかった、と、

思う。

テレビを通して見かけても、

逃した魚だとは思わない。



でも。



あの時間は確かに恋の一部だった。