2012-04-21 記載
→リメイク
いつの間に夏になってしまったのだろうか。
近所の桜の木は衣替えを済ませ、蝉の声が私の頭を揺らす。
たまには風情があると笑い飛ばしたくもなるが、今の私には目の前の陽炎に軽蔑する気力もない。
春なら心地よく歩くことができた通学路も、これだけ暑いと頭まで溶けてしまいそうだ。
「向日葵、大丈夫?茹で蛸みたいだけど」
隣から馴染みのある声がする。
が、上手く頭が働かない。声が出ない。
とりあえず頷いておかないと……。
「だ、大丈夫じゃないよな、それ。ちょっとそこのベンチ座って……ってできる?」
ぼんやりとした頭で、案内されたままベンチに座る。
目を閉じると、やけに遠くのほうで蝉の声が聞こえる気がする。
それはどんどん遠くなって、遠く…なって……。
「向日葵!」
心臓が止まるかと思った。
目の前には、やけに近いペットボトル。
「えー、速水海斗サン?おでこ冷たいんですけど」
「あ、話せるようになったんだ。よかった」
全く話を聞く気がないのか、おでこにあててきたスポーツドリンクを渡してくれた。
さっき買ってきてくれたばかりなのか、容器は汗をかいている。
少しずつ飲んでいると、だんだん頭の中がすっきりしてきた。
「ごめん、心配かけちゃって……」
「えっ、そんな素直に謝ってくるとか……本当に大丈夫かよ、自分の名前わかります?」
「水沢向日葵!高校一年生!……カイ、喧嘩売ってるの?」
そうやって素直に返してくるところが、向日葵らしいよね。
なんて、くすくす笑ってくる。
いつも馬鹿にして……本当に信じられない。
もう絶対に謝ったりするもんか。
「もうカイなんて知らない」
「そんなこと言っちゃっていいのかな?今日の晩御飯は、庭で流しそうめんなんだけど」
「ぜひ行かせていただきます、ごめんなさい」
なんだかんだ言って、胃袋には逆らえないのだ。
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とりあえず体調も回復したので、また歩き出すことにした。
それにしても、やっぱり暑すぎる。
一歩一歩が、とても重い。
「あーっ!!もう夏とか大嫌い!!」
「夏いいじゃん。夏野菜とか美味しい季節だろ?」
と言いながら腕を頭の上に置いてきた。重い。
確かに旬の野菜って最高に美味しいし、特に夏野菜を水で冷やして食べると本っ当に美味しい!
じゃなくて!
「腕のせないでよ!カイのせいで、背が伸びないじゃん!」
「背が伸びないのは俺のせいじゃないし。それに伸びなくていいじゃん、小人みたいで」
なんて言って笑ってきた。本当に失礼な奴!
昔は同じくらいの身長だったのに、いつの間にかずいぶん抜かされてしまった。
背が高くて、すらっとしたお姉さんになるのが夢なのに、全くなれる気がしない。
きっと背が高かったら、私にだって彼氏ができるはずなのに……!
でも、それ以上の問題は……。
「めっちゃモテるくせに、とことん断っていく奴がいることだよね」
「何、いきなり。てかモテたいわけじゃないから」
うわぁ、でたよ、ムカつくセリフ。
それだけは言っちゃいけないセリフだよ。
なんでモテる人って、こういうこと言うかなぁ。
「だって好きな子いるから。しかも片思いの」
淋しそうに笑いながらくしゃくしゃと撫でてくる。
なんか凄く意外……片思いの相手いるんだ……。
なんだか少し寂しい。あれかな、子供が巣立っていく感じ?
「子供みたいな人に、子ども扱いはされたくないかなー」
「ひっどい!!私だって150はあるんだよ?」
「問題はそれじゃないと思うんだけど……」
なんて話していたら、いつの間にか家がすぐそこに。
またあとで。
なんて言いながら手を振って、家に入った。
もうすぐ晩御飯だ。
2013.4.7>(*´∀`*)
風邪引いてます。
正直に言ってしまうと、PCの前に行くこともダルいんです。
誰か…どうにかして(笑)
今書いている途中の新作としては、
『人間を愚かでつまらないと考えている悪魔』
『嘘をつきすぎて自分自身の境界線を失った少年』
が投稿できればと思っています。
自分と少々考えの重なるキャラ達なので
最後まで書いて、投稿したいなぁ。
