すき家強盗をしようと山かけオクラ牛丼を食べた後、折りたたみナイフをしまったリュックサックに手をかけたところ、有線から流れる歌。
『銀杏BOYZのあいどんわなだいフォーエバーの歌が流れる』
古沢はネットカフェに行き、先ほど店内で聞いた歌詞を検索すると銀杏BOYZの歌詞だと知った。
いったい、どこからボロボロな人生を歩んでるのか古沢は考えた。
高校時代、バンドを組んでいたらボーカルの女がいろいろいいかげんで、男と関係を持ちまくって、できた赤ちゃんを中絶したから?
そこからすさまじい女性不信になってバイトすらできなくなったから?
父親がパチンコで200万借金作って祖父母に返済させてバカバカしくなったから?
真夜中のコンビニ。
レジの方へ向かいながら、ポケットの折りたたみナイフを取り出そうとしたその時。
『神聖かまってちゃんのゆーれいみマンが流れる』
犯罪を起こそうとするときに限って
音楽に邪魔される。
4時にアパートに戻り、眠って
10時に高円寺純情通りを歩く。
黒い帽子をかぶった二人組の男と小学生くらいの女の子が町を歩いていた。
「バウムクーヘン、うまいよ。マサお兄ちゃん」
マサお兄ちゃんと呼ばれた20代くらいの男は柔らかい笑みを浮かべ、女の子の髪を撫でる。
50代くらいの男が
「おいしいやろ。ほな、次はどこにしようか」
と言った。
古沢はこの3人を見ながら、本当の幸せはこんなものなのかもしれないと思った。
すべてをあきらめた表情でベンチに座っている古沢にショートボブの女の子が声をかけてきた。
「神聖かまってちゃんのライブドタキャンされちゃったんだけど行かない?」
「ああいいっすよ」
ライブ会場に行く途中、弱り果てた黒猫と心配そうになき続ける白猫2匹を見かけた。
スーパーに急いで走る古沢。段ボール箱を用意すると、そのままショートボブと猫目指して走る。
古沢は黒猫を撫でながら叫んだ。
「生きろよオイ生きろよオイ生きろよオイ生きろよオイ」
タクシーに乗って、動物病院を目指した。
結局、黒猫は助からなかった。
二人は夜の公園のベンチに座り、白猫二匹を眺めながら、話した。
「結局ライブ行けなかったな」
「まあでも猫を助けるあなたかっこよかったけど」
「でも、なんでベンチに座っていたオレに声かけてきたんすか」
「死にそうな顔して座ってたから、これはまずいなと思って」
「そんな暗そうにしてたかな、オレ」
メールアドレスを交換して、二人はそれぞれの帰路についた。