太陽が落ち始め、コロッセアムに影が伸びてきた。
闘牛は日が落ち始めコロッセアムに影が伸びてきた時に始まり、円形の砂場から光が消えていくときに終わる。
これから始まる約2時間のエンターテイメントに観客は今か今かと待ちわびる。


スペインの夜は長い、それが始まったのは夜9時から。
そう、スペインと言えば闘牛。 ここマドリッドで、ヨルダンで2ヶ月前に出会ったアメリカオトコのジェフ君と再会をしてから平和な日々を過ごしていたある日、 (ヨルダンでジェフ君との出会いブログはこちら
ジェフは 『ブルファイト見に行かない?』 って言ってきた。 おぉ~!行きたいっ、行きたいっ!!
南米のとある国でHIV教育のために2年間住んでいたジェフ君、スペイン語は問題なくできる。それで安くチケットを買う方法とか、場所をサラリと手配してくれた。
あ~、ホント、オツムよしお君って・・・ ビューティフル。
シティまで電車に乗りさっそくチケを買いに行く。

『高いんじゃないの??』

とビビっていたら、なんと6.5ユーロ・・・ 日本円で1,500円しない。 まぁ、どうせ一番悪い席だろうし・・・・ でも、雰囲気味わえたらいいや!

翌日、ジェフと共に向かったマドリッド郊外にあるコロッセアム。
コロッセアムに着いて、席を案内してもらって驚いた。
ええっ!! 
前から2列目だ。
前から2列目で激安だったのはどうも、新人マタドール(闘牛士)の闘牛だったので安いんだって、と、後からチラシを読んでジェフが教えてくれた。

知られているようであまり知らない闘牛のルール。
みなさん!!

牡牛が 『赤いマント』 に反応していると思っている方々がほとんどだと思うのですが、

実はそうではないのをご存知ですか?
色じゃないんです、あの

『マントのヒラヒラの動き』 

に反応しています。

え?知ってた??アテクシ、シリマセンデシタ… 
これ、観戦中にジェフに 
私 『ねぇねぇ、ブルって赤い色なんて判別できるの?マタドール(剣もった人)だって赤い服着てるのに~』 

って言ったら
ジェフ 『ブルはマントの動きに反応しているんだよ。ブルは色を見極められないよ』
ってこれまたサラリと答えた。 やっぱキミ、オツムいいわ・・・

そして、ピラピラの格好をした剣を持った王子様みたいな人マタドールが一人で牡牛と戦うのではない。 登場人物はたくさんいる。

マタドールはあくまで最後に一撃を食らわせて牡牛を倒す人ではあるのだけど、彼にはアシストの役目を果たす3名の準ピラピラ王子と、更に馬に乗って長い槍を持っている2名のアシストを持っている。

それぞれマタドールが2頭ずつ牡牛を倒す、つまり、1回の鑑賞で合計6回の闘牛ショーが見れるわけです。

闘牛って思った以上にグロい。
ヨーロッパにしてみれば、古代ローマの時代から剣闘士vs猛獣のバトルとか、剣闘士同士のバトル(まさにグラディエーター の世界) が文化としてあるから受け入れられるのだろうけど、
目の前のコロッセアムで馬に乗ったアシストが、走らされて疲れてくる牡牛を馬の上から長槍で刺し、更に興奮させ、闘牛士がヒラヒラマントで華麗な技を見せてバテさせ、

アシストが順番にリボンのついた短剣を牡牛に刺して、力がなくなってくる牡牛に刺激を与えたりすればするほど、牡牛の背中に真っ赤な血が流れ出て、
そしてマタドール登場。 マントヒラヒラで牡牛を疲れさせ、最後、闘牛士は長い剣でそのこめかみから背中の部分に剣を一気に刺す。

牡牛が一撃で "落ち"ればそれはとても 『良いもの』 とされる。
まるでスイッチを切ったかのように、バタン、と膝から崩れて動かなくなる牡牛。
ワーワー! と歓声を上げる観客。
非常に チーーーン な気持ちのアテクシ… 食べていたポップコーンを口に運ぶ手も止まる。

馬に乗ったアシストに長槍でグサグサ刺され、それに対して必死で反撃をくらわす牡牛は、果たして神様はこの瞬間のために牡牛を生かせていたのかなぁ、と思うと、
古代からまだ続くその血なまぐさい、人間が演出したショーに私は少々ショックを受けた。


グサグサと牡牛をぶっ刺す。馬に抵抗をくらわす牡牛。

確かにその闘牛は迫力があるのは事実だ。
馬ってのも見たことのないくらいでかいモノで、バトルホースってこんなんなんだ?!って感動し、目隠しをして、ボディに鎧を着けて、堂々とコロシアムに入ってくる姿は相当な見もの。
そんな馬の上から長槍でぶっ刺し、背中から血を流しながら牡牛が怒り来るって馬を倒そうとして、そしたら実際倒しちゃって、馬は自力で立てないから赤いシャツを着た人がワラワラ出てきて8人がかりくらいでおこし、
すかさず赤いマントのマタドールが駆け寄り、牡牛の注意を自分に引く。 馬の上に乗っていた人は逃げて、っていう危機迫る場面もあった。(これはなんか妙に興奮)

長槍でぶっ刺され、背中に6本もリボン付ナイフを刺され、血みどろのなりながら、今度はマタドールにマントヒラつかされて走りまわされる牡牛。戦闘意欲も落ちてくる。 見てるアテクシ相当ビミョウ。

オーレ!と観客が言いながらマタドールはマントをひらつかせて牡牛の癖とか性質を見極め、最後に牡牛にとどめを食らわす。

牡牛は地面にパタッと崩れ落ち、死んだ牡牛は観客の大歓声の元、鈴をつけた大きな数頭の馬に引きずられて姿を消す。

ハイ、終了。

次の牡牛がファンファーレと共にコロシアムに駆け込んでくる。既に背中にナイフを1本刺され、興奮状態だ。

生と死の劇が目の前で繰り広げられ、それは迫力はあったけど、なんかアテクシとしては気持ち良く受け入れられなく、帰りの地下鉄の中ではシーーンとしてしまった。

期待していた経験ではあったけど… むごい死がある以上、それは芸術として成り立たないんじゃないかな、というのがアテクシが感じた率直な感想でした。

まぁ、世界各国、闘鶏とか、闘犬ってのあるけども・・・ なんだかなー・・・

ところで、新人マタドールはグッサリと牡牛のスイッチを切った後、観客から猛烈な拍手を浴び、それが評価となって、名誉ある 『牡牛の耳をもらえる』 栄誉に輝いていた。 
一番いいのは、両方の耳をもらうことらしい。
(これまたジェフが隣で教えてくれた。)
アテクシのスペイン人友人はバルセロナ出身なのだけど、彼は 『アレは時代に逆行した残虐な行為』 と言っていた。 実際、バルセロナでする闘牛は最後、殺しはしないんだって。
ウーン、アテクシにはあまり理解しきれなかったエンターテイメントでした。

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