「頑張れよ」と手を握る
その声は前よりも儚くて
その手の力は前よりも柔らかい
なんとなく涙が出そうになるのを堪えて、笑顔で返す
「頑張る」
私は何度も裏切った
周りの大人を、自分の家族を、たぶん友達をも
そして自分を
そんな私にかけてくれる言葉は
すべて温かくて、柔らかくて、いとおしかった
ずっとそばを寄り添って歩いてきてくれていたこと
本当は気づいていたはずなのに
いつも自分の浸かる水だけを見て
手ですくってはこぼし、悲しみに暮れていた
今全てと切り離されて見えているものは
本当は青かった空だ
今見上げている、この空だ
水の上に浮かぶ虚像の空を見下ろしては
その儚さに打ちひしがれて
絶望に沈むフリをしていたのだ、きっとずっと
そんな自分に今更気づいている
ずっとこのままではいられない
これ以上何も裏切りたくない
だから
「頑張れよ」と握るその手に
私は、私を誓った。
