さまざまな悩みに電話で応じる「いのちの電話」に、熊本地震の被災者からの相談が相次いでいる。
4月の本震後から休止している「熊本いのちの電話」に代わって電話を受ける九州の4センターには「地震で何もかも壊れてしまい先が見えない」といった相談が、100件以上寄せられている。
自殺傾向の相談も目立ち、相談員は「震災で傷ついた状態から、少しでも平常に戻る手伝いをしたい」と被災者の心に寄り添う。
熊本いのちの電話は熊本市に事務局があるが、スタッフが被災するなどしたため4月下旬に休止した。
転送システムが採用され、北九州、福岡、佐賀、鹿児島のいのちの電話が、期間を区切って熊本の回線からの電話に対応している。
「家が潰れて惨め。消えてしまいたい」「いつも元の暮らしに戻れるかわからず、余震も怖い。なぜこんな仕打ちを受けるのか」…。
最初に対応した北九州いのちの電話には被災者からの悲痛な声が次々と寄せられ、相談は71件に上った。
川尻正之事務局長(71)によると、今後の暮らしに関する意見の食い違いなど家族間のトラブルの訴えも目立つという。川尻さんは「生活再建に向けて頑張り始めるこれからの時期は、心の負担も増える。家庭以外で気持ちを吐き出せる場が必要」と話した。
18日までに受け付けた震災関連の相談は他に福岡が24件、佐賀が8件、鹿児島が7~8件。
中には「同僚が楽しそうに話しているのを見るのが辛い」と、何げない風景に心を痛める人もいたという。
熊本いのちの電話では、ボランティアの相談員が確保できたとして24日午後3時から従来の24時間態勢の相談業務を再開する。
相談員の研修を務める事務局の池田菖子さん(69)は「被災した人達は心身がへとへとになっている。今は聞いてほしい事を聞いてあげられる大勢であり続けたい」と再開に思いを寄せる。
熊本いのちの電話=096 (353) 4343