


実家に一緒に
帰って来たピアノは
前に置いてあった
居間の壁側に置かれた。
祖母も生前には、時間を
見つけては童謡や唱歌に
合わせて
ポロン
ポロンと子供達に聞かせていた。
そんなピアノ…
上も子も下の子も
高校2年の後半には
受験勉強に時間を
取られる様になると
辞めてしまった。
子供達と実家から
引っ越す時、
もうピアノは
連れて来なかった。
私も仕事も忙しくなり、
子供達の塾の送り迎えや
何やらで
フェードアウト
してしまった。
実家に帰った時、たまに
思い出したかの様に
ポロン
ポロンと弾いてみる。
ピアノは段々と物置に
なっているみたいで、
本が置いてあったり、
小物や回覧版、たまに
バックが置いていたり…
メトロノームが物の陰に
埋もれている。
それからしばらくして
母から電話があった。
『ピアノを譲ってほしい
って方がいるから、
もういいでしょ?』
『…うーん、…』
『もう使わないでしょ?』
『調律はしばらく
していないんじゃない?
いいの?
多分左から最初の
【レ】の音が小さい、
重い音。
鍵盤の戻りが重くて…』
『全部言ってある。』
定期的やらなきゃいけない
『調律』も
調律料がばかにならない。
今は随分と
安くなった様だが、
昔はもっと高かった
気がする。
弾いてもらえないピアノ
で居るよりも、
古くてもちゃんと
向き合って
弾いてもらえる
『ピアノ』で居たいと
きっと
ピアノも思うだろう。







その後、久しぶりに
実家に行った。
居間に入ったら広々と
していた。
壁側に置いてあった
ピアノが無くなっていて
その壁の部分だけが
白くキレイだった。
何か違う家に来たみたい。
子供が普段使わなくなった
おもちゃを親から
「捨てていい?」
って言われて、
「嫌だ!」と思う心境。
使わないのに、
大事にしないのに
よく言うよ!って感じ。
後半はあまり大事して
やらなかったけれど
当たり前に無意識に
目に入る光景が
ある日
違うものに変わった時、
やっぱり寂しかった。
6才から30年以上も
ずーっと一緒に居たから。
大事にされていると
いいなぁ~
















【ピアノ】 〈城 南海〉
~~~~



いつも私の隣にいて
思いのまま
弾いてきたのに
大人になるたび
楽譜通りに
綺麗に弾こうとして
鳴り止まない
心を揺らす音
奏でるよ
君の事を 想うだけで
響く このメロディ
いつか誰か歌っていた
ピアノが弾けたなら
思い出したのは
ありのまま歌う
ただ一つの 君への歌
~~~~

~~
傷ついた夜も
気付けばいつでも
向い合い座っていた
荒れた海も そっと
なだめてくれる
それがピアノの
音でした
いつの間に
誰かより上手く
もっと上手く
弾けるようにと
一番大事な
心落として
ただ指を滑らせて
~~~~



~~
★☆★☆






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