子供の母子手帳は予防接種や健診などで時々見ますが、自分自身の母子手帳はあまり目にした事がありませんでした。

産後実家に帰ったとき、私は子供の時麻疹、風疹の予防接種をしたのかどうかの話になり、確認したいと言ったら出してくれました。
棚の中に予想外にもちゃんとしまってありました。

まだ簡素な母子手帳の時代で、子供へのメッセージなどの欄は無く、第二子と言うこともありあまり細かくは記録されていませんでした。

ですが予防接種の実施有無などは分かりました。麻疹風疹の予防接種は実施してありました。

「母子手帳なんてどこに行ったかわからない」なんて言われそうだなと思いましたがすんなりと出てきたことに少々驚きました。

そして、A4の紙が1枚挟まっていました。

吉野弘さんの、祝婚歌という詩でした。

祝 婚 歌
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
ゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい





とても素晴らしい詩です。
結婚式に新郎新婦に贈る定番の詩のようですが、私は知りませんでした。

紙は薄ら汚れ、少し斜めになってコピーされた字は読みづらかったですが一瞬で私を釘付けにしました。それくらい、私には必要な言葉ばかりでした。

どうして私の母子手帳の中なんかに挟まっているのか聞きました。
昔友人の結婚式のスピーチで聞いてすごく良かったのでコピーさせてもらったの、と母。

気になって、そっと写真を撮って母に返しました。


母は言いませんでしたが、生まれた赤ん坊の私にくれた人生歌のような気がしました。