ミルのポケットの中にはオオカミ男がいる。ずっとずっとオオカミ男がいる。どんなに声をかけても想い続けてもオオカミ男は絶対に振り向いてくれない。
今日もミルの中にはオオカミ男がいる。最近通学の電車がいっしょでオオカミ男をみつけるのが1日の始まりになっている。ミルの駅から電車にのって10分たったところにナッツ駅という駅がある。
ミルはその駅にいくのがだいすきだ、だって電車からみるナッツ駅の景色にオオカミ男がいるから。
冬ってこともあってオオカミ男はいつも寒そうに電車にのってくる。でもね、乗る前にいつも目を合わせて笑ってくれる。それだけでミルは1日頑張れるんだ。
ミルがオオカミ男に出会ったのはちょうど去年の今頃。なにも喋ったことのないミルにオオカミ男はいつも手をふってくれるんだ。すごく優しそうであったかい顔をしてる。かわいくて、気になるところもあって、、、。その日からオオカミ男を見るたび気になって気になってだいすきが溢れてくるんだ。
明日も会えるかな、?。でも近づくことはできない。人間の姿だから。小さくなりたいよ。