初めて行った接骨院、院長先生が骸骨模型をしゅぱぱぱぱと「わたし」に変換し、どこがどのように歪んでいるかを白日の下にさらしました。
もう、ぐうの音も出ません。
そんな院長先生が「担当はY先生」とおっしゃった。
あれ?
院長先生の出番はもうお終い?
ちょっとがっかりした私の前に登場した30代後半と思われるスリムなY先生、ずらりと並んだベッドの一つのカーテンをしゃっと開けた。
そして穴あき枕に顔を突っ込ませ、うつぶせになったわたしの肩やら腰やら足やらを「何か確認」するように押していく。
で、いきなりこれだ。
「すみません。相当痛いですが、我慢して下さい」
え?どういうこと?
思う間もなく手が襲い掛かってきた。
思うに、テレビとかでタレントさんが整体師の方に「悪いところ治します」ってばきばきやられて叫びまくる、あの状態だと思われます。
でも、ここは接骨院。
カーテンで仕切られているとはいえ前後左右、患者さんがいることをわたしは知っている。
テレビカメラも入ってないので、見せ場を意識して大声を張り上げる必要もない。
わたしは大人。
我慢するということを知っています。
「痛っ。痛い痛い痛い痛いです!」
「はい、我慢!」
「あー!たたたたた痛い痛い」
「もう少し!」
ギブ!ギブ!ベッドを叩く。
おやっさんがセコンドについていたらタオルを投げてくれるよう懇願するところだ。
「今日はここまでにしておきます」
手加減しました感を出すY先生。
もう何が起こったかわからん。
よろよろと会計を済ませ、良かったか悪かったかの判断もつきません。
「週3ぐらいで通って。とりあえず、明後日、来てください」
えー?マジですか?そんなに?
うーん。
どうしようかな。
とにかく疲れた。
半端ない疲労感。
先生の方がお疲れだろうと思う余力もなく帰ったら早々に就寝体制に入ることを目標とした。
その夜、不思議なことが起こった。
仰向けに寝ていたらぐるぐるぐるぐる内臓が移動しているのである。
内蔵が移動?
いやもう、上から触ったら動いてる動いてる。思わず「えーっ?」って言っちゃった。
不思議だし気持ち悪い。
骨を触られて位置が変わったからそれにつられて内蔵も移動したってことなんですかね?
Y先生、ゴッドハンドじゃねーか!
で、わたしは思いました。
Y先生、明後日行きます。
そう思った次第です。