「どうして・・・・・!!!!!!」
華南は泣き叫んだ。それが現実なのか夢なのか理解できていなかった。
華南が16歳になった祝いに家族で動物園に行こうと父親が言った。
家族全員喜び、楽しい時間は過ぎていった。
本当に幸せな時間だった。あの電話が鳴るまでは・・・。
父親(葦)の携帯が鳴った。
葦は深刻そうに返事をするだけだった。
あの楽しい時間が嘘かのように静かになる車の中で、母親(美奈)が問いかける。
「お父さん・・・?」
葦は重い口を開くと・・・・
「母さん、・・・・・・・倒産した」
美奈は頷き、葦に家に帰ろうと伝え、泣いていた。
その夜から葦と美奈は話合い、美奈がパートに初めて出る事が決まったのだった。
この出来事から、不幸の始まりとは誰も知らなかったのだった。
一寸先は・・・闇。
光を求め、美奈は努力した。
その一方、葦は家でゴロゴロし、酒を飲み、仕事を探さなくなった。
葦の元に倒産した会社の社長から電話が鳴り、葦は肩を落とした。
「差し押さえで、葦が買ったトレーラを引き渡さなければ、多額の借金が葦の元にいく」
それだけは止めたい。と社長は電話し、葦を説得した。
葦は、美奈や家族の事を真剣に悩み、離婚をする覚悟まで決めていた。
もし、借金が自分に降りかかる前に、美奈と子供には背負わせたくないと。
そして、美奈が帰ってきたその夜、離婚の話をし、美奈も納得した。
葦の思いが美奈に伝わり、美奈は泣き崩れた。
数日後、社長からの電話で美奈は喜んだ。
「分からないよう処理したから、離婚しなくても大丈夫だから。」
この言葉を聴いた葦は、再就職し、収入は少ないが、一生懸命働き、美奈も働いた。
それから1年半が経ったある日、華南は家を出た。就職が決まったのだ。
他県に行き、自分のやりたい仕事に専念していた。
数ヶ月経った・・・・。
華南の携帯が鳴った。
妹の優衣からだった。
「華南ちゃん、お母さん癌だって・・・・・・。」
「え?え?何て?」
華南は信じる事が出来ず、仕事も手につかず、早退し実家へ帰った。
美奈は笑顔で華南に謝るだけだった。
ただ一粒の涙を拭いながら・・・ごめんね・・・と。